一生に必要なお金はいくら?費用の内訳、男女別にシミュレーション解説
お金
2022.08.29 Mon
人間の一生にはいくらくらいお金が必要でしょうか?将来のことはわからないのが当然ですが、必要なお金をある程度把握しておくと、人生の選択もしやすくなります。そこで今回は、一生に必要なお金はいくらなのかを解説していきます。
一生に必要なお金は「約3億円」
最初に結論を言うと、生涯でかかる費用は約3億円です。この場合の「生涯」の前提をここで記載します。
- 大学を出る22歳までの費用は含まない
- 30歳で結婚し、車を1台持ち、住宅を購入、平均寿命まで生きる夫婦の世帯として必要な費用を算出する
現実の人生ではさまざまな違いが出てくるでしょうが、上記を踏まえた数値を記載しますので、ぜひ参考値としてご利用ください。
一生にかかる費用の内訳
詳細は後程説明しますが、政府などの統計から平均値を拾っていくと、夫婦1世帯が生涯に使うお金は、
- 生活費1億3,818万円
- 住宅購入費4,000万円
- 結婚費用171万円
- 子どもの教育費1,500万円
- 老後の費用7,016万円
- 親の介護費2,000万円
- 車にかかる費用2,944万円
- 趣味1,488万円
です。これを合算すると、3億2,937万円と算出されます。
生活費
30歳までは独身の前提で、まず総務省が2019年に出した34歳以下の単身者の支出統計を参照すると、この条件の家計支出は毎月約17万円です。ここには趣味も含まれており、趣味は別の項目で1万円として上げるので、17万円から差し引きます。
つまり結婚までの7年間の生活費は、一人当たり(17-1)×12×7=1,344万円と算出されます。
30歳以降は結婚している前提なので、総務省が出した勤労世帯の平均支出30.9591万円/月を参照し、1年で約371万円とします。
これが60歳までの30年間続くとすると、1世帯で1億1,130万円です。(60歳以降は老後の項目にて解説)。
合算すると、1,344万円×2人+1億1,130万円=1億2,474万円となります。
住宅の購入費用
住宅金融支援機構の「フラット35利用者調査2020年度」によれば、全国の土地付き注文住宅の平均購入費は約4,397万円、建売住宅で約3,495万円、マンションで4,545万円です。中古だと2,000万円代が相場なのでここでは単純化するために約4,000万円と考えます。
結婚費用
とある企業の調査では、2020年4月からの1年間で結婚した人が婚約・結婚式・披露宴・新婚旅行にかけた費用の総額は393.4万円です。ただし、親や親族から費用の援助も多く、その額は全国平均約179万円なので、結婚する二人が捻出した費用は171万円となります。
子どもの教育費
文部科学省が出した「平成30年度子供の学習費調査の結果について」では、幼稚園から大学まですべて公立校を利用して実家から大学に通った場合約1,000万円、大学入学後1人暮らしをした場合約1,500万円かかっています。
すべて私立で、大学で一人暮らしをした場合は約3,000万円ですが、ここでは1,500万円とします。
老後にかかる費用
「老後」の定義は明確ではありませんが、便宜上60歳以降とします。総務省の2019年の統計によると、60歳から85歳までの夫婦の、毎月の平均出費は22万円で25年分なら6,600万円となります。
また、葬儀費用も考えると、とある企業の調査では葬儀1件の平均は約208万円です。ここでは世帯で考えていますから、生活費と合算すると、6,600万円+208万円×2人=7,016万円が老後に必要なお金となります。
親の介護費用
親一人に対する介護費用は、平成30年度の生命保険文化センターの調査によると500万円とされています。ここでは夫婦で合算した費用を出しているので、親を4人として2,000万円が必要です。
車にかかる費用
車両購入費や燃費、整備費などにかなり幅がありますが、購入費を150万円とします。毎月3万円の維持費を23歳から免許返納の平均77歳までの54年間払い続け、車の買い替えは平均7年というデータから7回買い替えるとすれば、150万円×7回+3万円×12ヶ月×54年間=2,944万円となります。
趣味にかかる費用
趣味の費用も個人差が大きいですが、1人毎月1万円として23歳から85歳までに夫婦二人が使う費用は、1万円×12ヶ月×62年×2人=1,488万円です。
一生に必要なお金はいくら?男女別にシミュレーション
前の項目では世帯で算出したので、ここでは男女別で出します。
生涯独身で過ごす場合のシミュレーション
前の項目を参考にしつつ「世帯」にならないことで、下記のように算出します。
23~34歳の生活費は総務省が2019年に出した統計から参照すると、毎月約17万円ですが(趣味含む)、平均的には女性が1万円ほど多いとされているので、ここでは男性16.5万円、女性17.5万円とします。
また、同様に総務省のデータから35~60歳の単身者の生活費平均は20万円程度とされています。男女差を見ると、男性は約22.5万円、女性は約16万円という数値があります。老後になると男女差はなく、どちらも15万円程度が平均です。
これを合算すると85歳まで生きる生活費は
- 男性:(16.5万円×11年+22.5万円×25年+15万円×25年)×12ヶ月=1億3,428万円
- 女性:(17.5万円×11年+16万円×25年+15万円×25年)×12ヶ月=1億1,610万円
これに、住宅4,000万円、親の介護1,000万円、車2,944万円、趣味1,488万円を足すと、男性は2億2,860万円、女性は2億1,042万円となります。
子ども1人を育てる場合のシミュレーション
前の項目「生涯独身で過ごす場合のシミュレーション」に「子どもの教育費」1,500万円を足しただけでは子どもの生活費が含まれないのでここで算出します。
総務省が2019年に出した家計調査(家計収支編)では夫婦2人に対して子どもが一人増えた場合、食費、交通費、通信費などで毎月2万円程度支出が増えています。これを食費と判断して、衣服や小遣い等を考えると毎月平均5万円程度かかると予想できます。
これを22歳まで積算すると、5万円×12ヶ月×22年=1,320万円です。これに学費1,500万円をくわえると子ども一人当たり2,820万円が必要となります。
親の男女別でみると、
- 男性:自身にかかる費用1億3,428万円+子どもにかかる費用2,820万円=1億6,248万円
- 女性:自身にかかる費用1億1,610万円+子どもにかかる費用2,820万円=1億4,430万円
となります。
子ども2人を育てる場合のシミュレーション
前の項目の子どもが二人になるとして親の男女別でみると、
- 男性:自身にかかる費用1億3,428万円+子どもにかかる費用2,820万円×2=1億9,068万円
- 女性:自身にかかる費用1億1,610万円+子どもにかかる費用2,820万円×2=1億8,250万円
となります。
余裕のある人生を送るためには資金づくりが重要!
ここまでの数値を踏まえて、老後に余裕のある人生を送るための資金作りについて解説します。
貯蓄を増やす
人生の前半では大きな出費は少ないですが、徐々に子どもの進学や住宅購入、親の介護など必要な費用が増えますから、できるだけ若いうちに貯蓄をすることが重要です。とはいえ、ただ「貯蓄する」といっても実行しにくいので、毎月決まった額を必ず貯蓄する、定期預金で積み立てるなど、出来るだけ具体的に検討してみてください。
投資をして年収を増やす
年収を増やすには就労だけでは限界がありますから、ぜひ投資による増収もおすすめします。以下に代表的な投資の概要を記載します。
- 投資信託…多数の投資をまとめ、運用のプロが投資・運用し、その利益を還元する仕組みです。
- NISA…少額投資に対する期間限定の非課税優遇制度です。
- 株式投資…企業が発行した株を購入し売却益を得る仕組みです。
- 不動産投資…不動産を購入して貸し出して家賃収入を得る仕組みです
学費や老後資金を貯められる保険を活用する
子どもがいると大学進学の際に大きな費用を使うので、学費をためるには貯蓄型の学資保険が有効です。また、介護が必要な老後に備える策としては、終身保険や個人年金保険の利用をおすすめします。
まとめ
生涯にかかる費用をまとめると、世帯なら約3億円、独身でも約1億5千万円が必要です。
ただし、あくまで平均値を並べただけの数字であることには注意が必要です。大事なことはこのようなデータを参考にしつつ、自分だったらどれくらいの収入を稼ぎ、どれくらいの支出が出ていくのかを一つ一つ把握することで見えない不安は軽減されます。
このような大金を個人で管理するのは簡単ではありませんし、将来に向けた生活設計を1人で立てるのは容易ではありません。
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監修
株式会社アルファ・ファインシャルプランナーズ 代表取締役