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住宅ローンの変動と固定金利のメリットデメリット!選び方も解説

公開日:2023/04/21
グラフ

住宅ローンの申込みを検討している人の中には、金利に関する次の悩みを持っている人も少ないでしょう。

  1. ✅変動と固定の比較基準が分からない
  2. ✅各金利タイプのメリット・デメリットを知りたい
  3. ✅自分にあった金利がわからない

今回の記事では、これらの疑問を解決するために、お金の専門家である私が、各住宅ローン金利の特徴やメリット・デメリットを分りやすく解説します。

また、借り換えのおすすめポイントについてもお伝えしますので、借り換えを検討されている方もぜひ最後までチェックしてみてください。

住宅ローンの変動金利と固定金利の違いを解説

教える

住宅ローン利用者の中には「変動金利型」「固定金利型」の違いがわからない方もいるはずなので、特徴を解説します。

(1)変動金利とは?

住宅ローンの変動金利とは、借入期間中に金利が変動(見直し)するタイプです。

金利の見直しは半年ごとに行われ、それまでの金利と比較し低くなれば返済額が減りますが、反対に金利が上がれば返済額が増えます。

なお、金利の変動があってもすぐに返済額が変わることはないです。一般的に返済額の見直しは5年ごとに行われます。返済額も、前回の125%までしか上がらない、というルールも存在するので覚えておきましょう。

この5年1.25ルールは、毎月の返済額が8万円だと仮定すると、金利が大幅に上昇したとしても、見直し後の返済額は100,000円以上にはなりません。ただし、全ての住宅ローン商品についてついているわけではないので、事前に必ず確認するようにしてください。

また、例えば返済額が130%アップしていた状態では、残りの5%が無になるわけではありません。次の更新時に先延ばしされるだけなので、結局は支払うことになるということも必ず覚えておいてください。

(2)固定金利とは?

固定金利とは、名前からも想像が付くように借入時の金利が変わらないタイプです。

世の中の金利水準がどれだけ上がったとしても、固定型の固定金利の場合、金利の見直しはありません。つまり返済額は変わりません。

ただし、固定金利には「全期間固定金利型」「固定期間選択型」がそれぞれあります。

前述の通り、全期間固定金利型は借入時の金利が返済開始から終了時まで変わりません。一方、固定期間選択型は、例えば10年など選択した期間中の金利が変わりません。

選択可能な固定金利の期間は、2年間・3年間・5年間・10年間・20年間などさまざまで、借りる人が選択できるわけですが、通常固定金利の期間が短い方が金利は低く抑えられます。

変動金利のメリット・デメリット

ここでは、具体的に変動金利のメリットとデメリットを解説していきます。

2023年現在、変動金利を選択する人の需要が多い傾向にありますが、一方でデメリットがないわけではありませんので確認してみてください。

(1)変動金利のメリット

変動金利のメリットは、他の金利タイプと比較して金利が低めという点です。0.5%を下回る数値は珍しくありません。

例えば、メガバンク3社の2023年4月時点(最新)の変動金利を見てみましょう。

  1. ✅三菱UFJ銀行:年0.475%
  2. ✅三井住友銀行:年0.475%
  3. ✅みずほ銀行:年0.375%

2022年12月、日銀の金融政策決定会合により、長期金利の上限が0.25%から0.5%に拡大すると発表され、その影響により固定金利の上昇が確認されました。

一方「変動金利はどうなる?」という声もありましたが、長期的な金利ではなく、短期金利に連動する変動金利は現状低水準が続いています。

(2)変動金利のデメリット

変動金利のデメリットは、金利上昇リスクがある点です。ローンを組んだ当初の金利が低くても、数年後に金利が上がる可能性はゼロではありません。

変動金利には5年125%ルールがあるため、5年間毎月の返済金額には上限がある一方で、金利には上限がありません。

つまり金利が上がると、元金の減りが遅くなり、その結果総返済額が増加することになります。

そのことで、家計を圧迫するリスクもあるので注意点として把握しておきたいところです。

固定期間選択型のメリット・デメリット

計算

次に固定期間選択型(固定金利選択型)のメリット・デメリットも見ていきましょう。

(1)固定期間選択型のメリット

固定期間選択型のメリットとして挙げられるのは、一定の間返済額が固定される点です。

例えばマイホームの購入後10年間金利が変わらない設定であれば、その間教育費や進学にお金がかかっても、金利上昇による返済負担を気にしなくて済みます。

また固定期間選択型は、全期間固定金利と比較して金利が抑えられる点でもメリットです。

例えば三菱UFJ銀行の住宅ローン金利を見てみると、全期間固定金利(31~35年)が年1.64%ですが、固定10年では年0.95%でした。

(2)固定期間選択型のデメリット

固定期間選択型のデメリットとして大切なのは、固定期間終了後に5年ごとの返済額の見直しや、125%のルールに対応しないところです。

そのため、固定期間終了後の金利上昇による返済額の負担増が心配されます。

全期間固定金利のメリット・デメリット

全期間固定金利のメリットとデメリットも見てみましょう。

(1)全期間固定金利のメリット

全期間固定金利のメリットは金利の見直しがない点です。変動金利や固定期間選択型のように金利が変わらず一定のため、毎月・毎年の返済額が変わりません。

そのため計画的に貯金や貯蓄がしやすいといえるでしょう。

また金利の上昇により、急激に出費が増えるということもないため、例えば老後資金や教育資金の積み立てを定期的に行っていく人にとってもメリットです。

(2)全期間固定金利のデメリット

全期間固定金利のデメリットは、変動金利や固定期間選択型と比較し金利が高いことです。例えば、りそな銀行の各金利タイプの状況は次のようになっていました。

  1. ✅変動金利:年0.370%
  2. ✅10年固定金利:年1,335%
  3. ✅全期間固定金利:年1.345%

変動金利との差は明らかです。全期間固定金利が圧倒的に高いのがわかります。今後も変動金利が低水準で推移するようなら、全期間固定金利はより返済額が大きくなります。

【金利別】おすすめする人を解説!

専門家

ここでは、3種類の金利タイプのうちそれぞれおすすめする人を解説します。

(1)変動金利をおすすめする人

変動金利は、今後世帯年収アップの見込みがある人や、すでに預貯金に余裕がある人にオススメします。

変動金利は、固定金利と比較し金利が低いため毎月の返済額が抑えられるのが魅力ですが、一方で金利が上がった際の負担増はデメリットです。

そのため、将来的に収入が増える可能性がある人や、貯蓄に余裕がある人の方がいざというとき安心できます。

(2)固定期間選択型をおすすめする人

固定期間選択型は、一定期間まで返済額を固定したい人に適しています。

例えば、子供が大学を卒業するまでの間は、住宅ローンの返済を計画的に行いたいなど、ライフプランに合わせた返済計画を希望している人におすすめです。

ただし、10年後など固定期間終了後の金利が上昇していれば、返済負担が増える恐れもあるためその点は考慮すべきです。

(3)全期間固定金利をおすすめする人

全期間固定金利は、返済額が増える不安をなくしたいと考える人におすすめします。

35年といった長期間のローンであっても、完済までの返済額が変わらない点は、全期間固定金利のメリットです。

全期間固定金利なら、計画性を持って返済できますしまた貯蓄もしやすいです。

ただし、金利タイプの中で最も金利が高い点はデメリットなので、その点は理解しておいてください。

住宅ローンを借り換えるメリット・デメリット

計算

次に、住宅ローンの借り換えのメリットやデメリットもお伝えします。

「借り換え」という言葉をはじめて目にするかもしれませんが、具体的に解説しているので参考にしてみてください。

(1)住宅ローンの借り換えとは?

住宅ローンの借り換えとは、新たな金融機関で住宅ローンを申し込み、現在利用中のローンを一括で返済することです。

住宅ローンの金利については、カードローンなど他のローンと比較して低いため、大して気にすることはないと感じる人も珍しくありません。

しかしながら、ローン残高が数千万円など大きいため、少しの金利差でも負担額が大きくなってしまいます。そこで、金利の高いローンから低いローンに乗り換えるわけです。

そうすることで、毎月の返済額や返済総額を抑えられる可能性があります。

(2)借り換えのメリット

借り換えのメリットは、月々の返済額そして総返済額を減額できる点です。例えば次の例でシミュレーションしてみましょう。

  1. ✅住宅ローン残高:2,000万円
  2. ✅返済期間:20年
  3. ✅返済方法:元利均等返済
  4. ✅金利(借換前):2%
  5. ✅金利(借換後):1%
 借換前借換後
金利2%1%
毎月の返済額101,176円91,978円
年間返済額1,214,112円1,103,736円
総返済額24,282,240円22,074,720円
算出に使用したサイト:三井住友銀行

借り換え前(金利2%)から借り換え後(金利1%)を比較すると、毎月の返済額の差は9,198円、年間の返済額の差は110,376円、総返済金額は「2,207,520円」です。

つまり200万円以上総コストを抑えられるわけです。算出した数値はあくまでも概算ですが、借り換えることで大きなメリットがあるのがわかります。

他にも、金利上昇リスクを考え変動金利から固定金利に変更する、といった手段も取れます。

(3)借り換えのデメリット

借り換えのデメリットは「手間がかかる」そして「諸費用が発生する」点です。借り換えで新たな住宅ローンを申し込む際は、再度審査結果を気にしなくてはいけません。

つまり、審査に通るためには必要書類を集めなくてはいけませんし、金融機関との契約手続き、司法書士との抵当権設定や抹消の手続きも必要です。

そして全額繰上返済の手数料(例えば三井住友銀行だと最大税込22,000円)や抵当権抹消費用1万円~3万円といった費用もかかります。

その場合は本当に借り換えした方がいいのか、なかなかご自身で判断するのが難しい場合もあります。悩まれている方はぜひ我々FP相談してみてください。様々なシミュレーションをしながら、アドバイスさせて頂きます。

住宅ローンの借り換えを検討する3つのタイミング

タイミング

それでは、住宅ローンの借り換えを検討、実現するタイミングも見ていきましょう。

(1)借入時と比較し金利が下がったとき

まずは、借入時と比較して金利が下がったときに借り換えを検討してみるとよいでしょう。

例えば、住宅ローンを全期間固定金利で借入れている際に、経済状況の影響で金利が下がったとしましょう。

金利が下がったとしても、利用中の全期間固定金利は借入時から金利が変わらないため、その恩恵を受けられません。

そこで、より金利が下がる住宅ローンに新たに乗り換えるのも選択肢のひとつです。

なお、現在の住宅ローン金利と借り換え後の金利差が1%以上あると、借り換えの効果があるといわれています。1つの目安にしてください。

(2)より条件がよい住宅ローン商品が見つかったとき

現在利用している住宅ローンよりも、低金利での借り入れができる金融機関や住宅ローン商品を見つけた際も、借り換えのタイミングだといえます。

ただし、住宅ローンを借り換える際は手数料などの諸費用が発生するため、事前に金融機関に相談した上で実行に移しましょう。

(3)固定期間終了後の金利が高くなるとき

固定期間終了後の金利が高くなる場合も、借り換えを検討する時期だといえます。

固定期間選択型では、一定期間の終了後金利の引き下げ幅が小さくなるケースがあります。

住宅ローンの適用金利(実際に住宅ローンを借りる際の金利)は、金融機関が定める店頭金利(基準金利)から一定の金利を引き下げて算出する仕組みです。

その際、引き下げる金利幅が小さければその分適用金利が上がるわけです。

例えば借入れ時の店頭金利が年2.0%で、引き下げ幅が年1.0%の場合、借入れ金利である適用金利は年1.0%です。

一方で、固定期間終了後の引き下げ幅が年0.5%となった場合、適用金利は年1.5%に増えます。

固定期間の終了後に適用金利が上がるようであれば、他の金融機関に乗り換えるのも1つの方法です。

住宅ローンの金利選びで迷ったときはFPに相談してみる

相談

ここまで変動金利と固定金利の違いをお伝えしてきましたが「どれが自分に合っているかわからない」という人もいるかもしれません。

金利タイプで迷ったときは、お金の専門家である我々FP(ファイナンシャル・プランニング技能士)相談してみてください。

弊社は累計2万件以上の不動産売買の相談実績があり、そのうち殆どのケースにおいて住宅ローンのご紹介もさせて頂いております。弊社ならではのノウハウをお伝えできたらと思っています。

また、将来に向けた資産運用や、あなたに適した積立NISAやiDeCoなどの投資のアドバイスも対応しています。ぜひ相談してみてください。

まとめ

カップル

今回は、住宅ローンの変動金利と固定金利の違いやメリット・デメリット、借り換えについても解説しました。

変動金利だから良い、固定金利はダメといったことではなく、どちらにもメリットとデメリットがあるのを覚えておきましょう。

本記事で紹介した「おすすめする人」を参考に、自分に適した金利タイプを選んでみてください。

また、将来の返済負担を軽減できる可能性もあるので、住宅ローンの借り換えについても押さえておくべきです。

自分に合った金利タイプがわからない、借り換えのタイミングを知りたいという人は、お金のプロである弊社FP(ファイナンシャルプランナー)相談してみましょう。

あなたにとって無理のない借入額や返済方法の診断、そして資産運用まで、アドバイザーとしてご提案させていただきます。

著者

代表取締役 田中佑輝
代表取締役 田中佑輝株式会社アルファ・ファイナンシャルプランナーズ
AFP、宅地建物取引士、DCプランナー、証券外務員一種、二種、内部管理責任者、不動産賃貸経営管理士、住宅ローンアドバイザー、日商簿記2級
☆「幻冬舎ゴールドオンライン」にて記事連載中☆
☆「NewsPicks」にて記事連載中☆

アジア金融の中心地であるシンガポールに10年間滞在。その後、外資系銀行にてプライベートバンカー、セールスマネジャー、行員向け経済学講師を経て独立系ファイナンシャルプランナー事務所を設立。著書に『58歳で貯金がないと思った人のためのお金の教科書』、『50代から考えておきたい“お金の基本”』。Bond University大学院でマーケティングと組織マネジメントを研究。経営学修士。
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