「法人クレジットカード、作ってみたいけど審査が厳しそう」と思っている経営者もいらっしゃることでしょう。
しかし、よく探せば審査が緩いクレジットカード会社もあり、予想以上に簡単に作れます。
法人クレジットカードがあれば経理・財務の面で大きなメリットがありますから、審査が通るようであればぜひとも申し込んでみたいところですよね。
そこで、この記事では法人クレジットカードの作成に関して、特に審査の緩いところをご紹介します。
また、法人クレジットカードのメリットや審査基準についても説明しているので、ご検討中の人はぜひ参考にしてみてください。
法人クレジットカードのメリット4選
「クレジットカードはつい使いすぎてしまうから持つのが怖い」という経営者の方もいることでしょう。
たしかにそのリスクはありますが、それ以上に大きなメリットもあります。
その主なものは以下の4つです。
- 経費精算が楽になる
- キャッシュフローが良くなる
- 様々な特典がある
- 会社のステータスが上がる
まずはこれらのメリットからご説明します。
経費精算が楽になる
経費の支払いを現金で行った場合、精算するには領収書と経費精算書を経理担当者に提出することになります。
これが非常に手間のかかる作業で、末端の営業マンのなかには未精算の経費を溜め込んでしまっている人もいます。
また、出張や接待の多い経営者にとっても経費精算は面倒な作業の一つといえます。
では、法人クレジットカードを使って経費を支払った場合はどうなのかというと…支払いは口座引き落としで使途はすべてカード利用明細に記録されます。
そのため立替払いが発生せず、経費精算という作業そのものがなくなるのです。
締め日前に慌てて経費精算する人は大勢いますが、法人クレジットカードがあればそんな必要はなし。
これまで経費精算にかけていた時間を営業活動に費やせるので会社の生産性があがります。さらに、以下のようなメリットもあります。
法人向けクレジットカードは、利用限度額が個人カードよりも高い場合が多く、幅広い用途で使えます。急な出張や設備投資などにも対応可能。個人カード同様に、使った金額に応じてポイントが貯まり、好きな用途で活用できます。
法人がクレジットカードで経理業務を効率化する方法。詳しくはこちら
キャッシュフローが良くなる
現金払いの経費精算を溜め込まずにその都度処理するという人もいることでしょう。
非常に立派な行為ですが、問題なのはその度に会社の現金が減っていくこと。
営業活動によって生み出される売上は後日入金になることがほとんどなので、それまでの間キャッシュフローが悪くなります。
一方、法人クレジットカードを使って経費の支払いをすれば、翌月の引き落としまで現金の支出はありません。
なおかつ、分割払いにすることもできるので、売り上げの入金日に合わせた支払いが可能です。
こうしてキャッシュフローを改善していけば、会社によっては一回転分の仕入れ資金が浮くことも。当然、年間の売上に大きな違いが出てきます。
経費の支払いを法人クレジットカードに変えるだけで売上・利益が変わるのであれば、導入しない手はないでしょう。
様々な特典がある
個人向け同様、法人クレジットカードにも様々な特典がつきます。クレジットカード会社によって異なりますが、主なところでは
- 特定の店で買い物をするとポイントが多く貰える
- 旅行・出張中の傷害保険が無料になる
- 特定の施設で割引がきく
などがあります。こうした特典を上手く活用することで、社員旅行の費用を大幅に浮かせたり備品が安く買えたりできるわけです。
浮かせたコストは最終利益に直結しますから、法人クレジットカードはどんどん活用していくべきです。
一つ一つは少額ですが、1年を通して複数の社員がそれを行っていくとかなりの金額になりますよ。会社のステータスが上がる
取引先との交渉においてものをいうのが会社のステータス、つまり信用度です。
ステータスが低いと取引そのものを断られたり、不利な条件を提示されたりします。
その点、法人クレジットカードを持っていれば、それをみた取引先から信用してもらえることも。
それがアメックスだったりすれば、誰もが「お!」と思うはず。
些細なことではありますが会社の格を考えると決して損ではありませんので、取引先の前では法人クレジットカードをどんどん使っていきましょう。
なお、アメックスの法人クレジットカードについては後述します。
ステータスの高い法人カードの特徴と選び方について知りたい方はこちら
法人クレジットカードの主な審査基準
クレジットカードの作成には審査がありますが、法人クレジットカードの作成も同様です。
「うちの決算内容で審査が通るのか?」と思う経営者の方もいるはず。
そこで法人クレジットカードの審査基準についてご説明します。
審査基準1:事業年数
企業の信用度をはかる上で事業年数の長さは重要な項目。
法人クレジットカードの審査においては3年が一つの目安とされています。
とはいえ、3年未満の企業がすべて審査落ちするわけではありません。
事業年数は総合判断のなかの一項目に過ぎませんから、限度額を下げた形で審査に通ることもあります。
また、事業年数不問のクレジットカード会社もあるので、創業期の企業はそういったクレジットカード会社を選ぶようにしましょう。
審査基準2:財務内容
法人クレジットカードの申込書には設立年月日の他に従業員数、資本金、年間売上、最終利益なども記入します。
当然のことながら売上と利益は多い方が有利。とくに連続黒字を達成して売上も右肩上がりの企業であれば審査通過の可能性が高くなります。
売上が少なく赤字だからといって絶対に審査落ちするわけではありませんが、審査上有利になることはないでしょう。
ちなみに、法人クレジットカードには「スタンダード」「ゴールド」「プラチナ」などのクラスがあり、それが高くなればなるほど審査書類が増えます。
プラチナクラスになれば財務諸表や確定申告書の提出を求められ、キャッシュフローや経費の額まで調べられますから、これらの点に不安がある人は審査書類の少ないスタンダードの方に申し込んでおいた方が無難です。
審査基準3:代表者の信用情報
法人クレジットカードの審査においてもっとも重要なのが代表者の信用情報です。
代表者個人に大幅な支払遅滞や債務整理などの履歴があると法人クレジットカードの作成はほぼ無理です。(もちろん個人のクレジットカードも)
この点について不安な人は信用情報センターに自分の信用情報を照会してみることをおすすめします。
なお、大幅な支払遅滞に関しては遅延解消後5年が経過すれば情報が削除されます。
逆に遅滞中のままではいつまでたっても情報は消えず、法人クレジットカードの審査は通りません。
なので、個人の方で支払遅滞がある人はそれを解消し、それ相応の年数が経過してから別のクレジットカード会社に申し込むようにしましょう。(同じクレジットカードでは社内情報により審査落ちします)
審査基準4:事務所
近年では自宅を事務所とする中小企業が増えてきました。
主にIT業界に多いこのスタイル。電話も携帯電話のみというところが多く、無駄のない経営方針といえます。
ただし、法人クレジットカードの審査となると話は別。法人クレジットカードでは自宅とは別の事務所があり、固定電話も設置している方が有利になります。
やや時代にそぐわない審査基準ではありますが、「ちゃんとした事務所がある=信用がある」という考え方ができ、なおかつ事務所を維持できるだけの売上があるとも判断されます。
自宅兼事務所の企業がすべて審査落ちするわけではありませんが、審査上不利になるということは覚えておきましょう。
法人クレジットカードの審査書類
法人クレジットカードの審査に使われる書類は以下のものです。
<スタンダードクラス>
- 本人確認書類
- 登記事項証明書/登記簿謄本/印鑑登録証明書(左記のいずれか)
<ゴールドやプラチナクラス>
- 本人確認書類
- 登記事項証明書/登記簿謄本/印鑑登録証明書(左記のいずれか)
- 決算書2期分
*上記のほか、法人または代表者が不動産を所有している場合は、当該物件の不動産謄本が必要になります。
自社のステータスを高めるにはゴールドやプラチナが効果的ですがネックなのは決算書。
お伝えした通り細かい点まできっちり審査されてしまいます。
それで審査落ちするくらいであれば、一旦スタンダードの法人クレジットカードを作っておき、2年かけて取引実績を作りつつ決算内容を改善させてからクラスアップを狙った方がいいでしょう。
比較的審査が緩い法人クレジットカード3選
ここまで読んで「法人クレジットカードを作ってみよう」と思った人も多いはず。そこで比較的審査が緩い法人クレジットカードを3つご紹介します。
三井住友ビジネスカード for Owners(クラシック)
年会費 | 初年度無料(オンライン入会) 2年目以降1,375円(税込) |
ポイント還元率 | 0.5% |
ポイント名 | Vポイント |
限度額 | ~150万円 |
発行スピード | 最短3営業日 |
マイレージ還元率 | 最大0.5% |
ETC年会費 | 550円(税込) |
備考・特典 |
|
三井住友ビジネスカード for Owners(クラシック)は法人代表者と個人事業主を対象にした法人クレジットカードです。
法人のみを対象とした「三井住友ビジネスカード」も存在しますが、キャッシングやリボ払いができるのは for Ownersの方となります。
特徴的なのは任意の3店舗で常にポイントが+0.5%となること。クレジットカード会社側が指定するコンビニエンスストア・スーパー・ドラッグストア・ファストフード・カフェなど約60店舗の中からよく利用する3店舗を選んで登録しておけば、ポイントがじゃんじゃん貯まります。
法人クレジットカードはそのメリットを追及して最終利益のアップに繋げるのが旨味なので、ポイントアップの店は積極的に使うといいですよ。
ライフカードビジネスライト(スタンダード)
年会費 | 初年度無料 2年目以降無料 |
ポイント還元率 | 無し |
ポイント名 | - |
限度額 | 10~200万円 |
発行スピード | 最短4営業日 |
マイレージ還元率 | 最大0.5% |
ETC年会費 | 無料 |
備考・特典 |
|
ライフカードビジネスライトの特徴は開業して間もない企業でも申し込みOKなこと。
さらに書類審査がないので、決算内容に不安のある人でも問題ありません。
また、提携している弁護士事務所に法律相談できる(1時間無料)というのも魅力。
会社経営をしていれば法律に関して分からない点がでたり取引先とのトラブルが起きたりということはよくあります。
その度に弁護士を探して相談していては手間も費用もかなりのもの。それがライフカードビジネスライトなら無料であっという間に片付くので大変おすすめです。
アメリカン・エキスプレス・ビジネスカード
年会費 | 13,200円 社員カード6,600円 |
ポイント還元率 | 0.5% |
ポイント名 | - |
限度額 | - |
発行スピード | 1~3週間 |
マイレージ還元率 | 最大0.5%(年間参加費3,300円) |
ETC年会費 | 550円(税込) |
備考・特典 |
|
「会社のステータスを高めたい」という人にはアメリカン・エキスプレス・ビジネスカードがおすすめです。
アメックスといえばハイクラスの代名詞。実際、アメックスには限度額が決まっておらず、事前連絡で高額利用も可能です。
また、空港ラウンジサービスが使えるというのも魅力的。限られた人しか利用できない空港ラウンジに堂々と入れる…その優越感が味わえるだけでも、アメックスは大変お得と言えるでしょう
ちなみに、アメックスは審査基準が独特なことでも有名。
通常、クレジットカードの支払遅滞があると審査落ちするものですが、アメックスの場合は現状の業績次第で不問になることもあります。
つまり、他のクレジットカード会社の審査で落ちた方でもアメックスだけ通ることもあるのです。
法人クレジットカードは意外と簡単に作れる!
この記事では法人クレジットカードについてご紹介しました。
「審査が厳しそう」と思われがちな法人クレジットカードですが、「書類不要」「業歴不問」といったクレジットカード会社もあり、スタンダードクラスであれば意外と簡単に作れます。
それでいて経理・財務上のメリットが大きいので、持っていない人はこの機会にぜひご検討ください。