アルファ・ファイナンシャルプラナーズ

掛け捨て保険と積立保険(養老・終修身)はどちらが得?お金が貯まる保険の落とし穴

公開日:
代表取締役 田中佑輝

この記事の監修者:

アルファ・ファイナンシャルプランナーズ 代表取締役/田中佑輝

「掛け捨ての保険って、結局お金が戻ってこないから損ですよね。それなら、お金が貯まる積立保険のほうがお得じゃないですか?」——保険の相談で、この考え方を持っている方は本当に多いです。「掛け捨て=もったいない」「積立=お金が戻ってくるからお得」——直感的にはその通りに思えます。

でも、ここで立ち止まってほしいのです。その「お金が戻ってくるからお得」という感覚こそが、実は多くの人が保険で損をする入り口になっています。一見魅力的な「お金が貯まる保険」には、高い手数料・インフレリスク・流動性の低さという、プロしか知らない構造的なコストが隠れているのです。

この記事では、掛け捨て保険と積立保険の本当の損益構造を、感情ではなく数字とロジックで徹底解剖します。そのうえで、我が家が最もお金を残せる「合理的な保険と資産運用の組み合わせ」を、FPの視点でお伝えします。「なんとなく損な気がするから」で保険を選んで後悔しないために、ぜひ最後まで読んでください。

掛け捨て保険と積立保険(養老・終修身)はどちらが得?お金が貯まる保険の落とし穴

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【基礎知識】掛け捨て保険と積立保険(養老・終身・変額)の根本的な違い

まず、2つの保険がどう違うのかを正確に理解しましょう。この違いを知ることが、正しい判断の第一歩です。

掛け捨て保険(定期保険・収入保障保険など):保障に特化した低コスト保険

掛け捨て保険は、その名の通り「保障だけ」に特化した保険です。定期保険や収入保障保険が代表例で、一定期間の死亡保障などを、非常に安い保険料で確保できます。満期金や解約返戻金はほとんどない(掛け捨て)ため、「お金が戻ってこない」代わりに、保険料が圧倒的に安いのが特徴です。

たとえば、30代の方が数千万円の死亡保障を持つ場合でも、掛け捨ての定期保険なら月々数千円で済むことが多いです。「少ないコストで、大きな保障を確保できる」——これが掛け捨て保険の本質的な価値です。

積立保険(終身保険・養老保険・変額保険など):保障と貯蓄がセットになった保険

積立保険は、「保障」と「貯蓄」がセットになった保険です。終身保険・養老保険・変額保険などがこれにあたります。保険料の一部が積み立てられ、解約時には「解約返戻金」として戻ってきたり、満期時に満期金を受け取れたりします。「お金が戻ってくる」ため、一見お得に感じられます。

ただし、保障と貯蓄がセットになっている分、保険料は掛け捨てよりずっと高くなります。 そして、この「保障と貯蓄がまとめられている」という構造の中に、次に解説する落とし穴が潜んでいるのです。同じ保障額でも、掛け捨てなら月数千円、積立なら月数万円——この差額の意味を、正しく理解することが重要です。

知らずに選ぶと後悔する!「お金が貯まる保険」の3つの落とし穴

「保障もできて貯蓄もできて一石二鳥」——積立保険は、こうしたマーケティングで勧められます。でも、その裏には3つの構造的な落とし穴があります。順番に解剖していきましょう。

落とし穴①:保険会社の手数料が差し引かれ、実質的な運用効率が悪い

最大の落とし穴がこれです。積立保険の保険料は、そのすべてが積み立て・運用に回るわけではありません。保険会社の運営コスト・保障のための費用・販売手数料などが差し引かれた「残り」が、積立に回るのです。

つまり、あなたが払った保険料から、まず各種の費用が引かれ、その残りが運用される。この「差し引かれるコスト」の分だけ、実質的な運用効率が悪くなります。自分で新NISAなどで直接運用すれば、こうした保険会社への手数料を払わずに、払ったお金の全額を運用に回せます。 「保険を通して貯蓄する」ことは、この中間コストの分だけ、効率が悪くなる構造なのです。この手数料構造は、契約者からは見えにくいため、多くの人が気づかないまま損をしています。

落とし穴②:インフレが進むと「固定の解約返戻金」の実質価値が暴落する

多くの積立保険(特に終身保険・養老保険)は、契約時に将来受け取る金額が固定されます。「30年後に○○万円受け取れる」と決まっているのは、一見安心です。しかし、これがインフレ時代には弱点になります。

2026年現在のように物価が年2〜3%上昇し続けると、30年後に受け取る固定額の「実質的な価値(購買力)」は、大きく目減りします。 契約時に「これだけあれば十分」と思った金額が、30年後には物価上昇によって、思ったほどの価値を持たなくなっているのです。お金の額面は保証されても、その購買力は保証されない——これが、固定の解約返戻金・満期金のインフレリスクです。株式などで運用する新NISAが、インフレに比較的強いのとは対照的です。

落とし穴③:途中でまとまったお金が必要になっても「自由に引き出せない」

3つ目の落とし穴が、流動性の低さです。積立保険は、契約後の早い時期に解約すると、払い込んだ保険料より大幅に少ない解約返戻金しか戻ってこない(元本割れ)ケースがほとんどです。これを「解約控除」といいます。

人生には、急にまとまったお金が必要になる場面があります。子供の進学、住宅の修繕、病気、失業——そんなとき、積立保険を解約すると大きく損をしてしまう。「貯蓄したつもりが、いざ使いたいときに引き出すと元本割れ」という事態は、積立保険では珍しくありません。新NISAならいつでも時価で引き出せるのに対し、積立保険はこの流動性の低さが大きなデメリットです。「お金が貯まっているように見えて、実は自由に使えないお金」——これが積立保険の隠れた性質です。

【徹底比較】「積立保険」vs「掛け捨て保険+新NISA」どちらが本当にお得?

ここからが核心です。同じ金額を使うなら、「積立保険1本」と「掛け捨て保険+新NISA」のどちらがお金を残せるのか。毎月の総支出を同じにして、フェアに比較してみましょう。

シミュレーション条件設定(毎月の総支出を同じにして比較)

毎月の総支出を3万円に固定して、2つのパターンを比較します。どちらも「死亡保障を持ちながら、お金を貯める」という同じ目的です。

パターンA:毎月3万円を「積立保険(終身保険等)」に全額投入した場合

毎月3万円を積立保険に投入すると、死亡保障を持ちながら積み立てができます。ただし、前述の通り保険会社の手数料が差し引かれるため、30年間払い込んでも、解約返戻金は元本(1,080万円)に対して返戻率105〜115%程度、金額にして約1,130万〜1,240万円にとどまることが多いです(商品により異なります)。しかも、この金額は固定のため、インフレで実質価値は目減りします。

パターンB:毎月5,000円を「掛け捨て保険」、残りの2.5万円を「新NISA」に回した場合

一方、毎月5,000円を掛け捨ての定期保険(これで積立保険と同等以上の死亡保障を確保できます)、残りの2.5万円を新NISAで運用した場合を見てみましょう。

項目パターンA
積立保険3万円
パターンB
掛け捨て5千円+新NISA2.5万円
毎月の総支出3万円3万円
死亡保障ありあり(掛け捨てで確保)
30年後の資産(想定)約1,130万〜1,240万円約2,080万円(新NISA年5%運用時)
インフレ耐性弱い(固定)強い(株式運用)
流動性低い(解約控除)高い(いつでも売却可)
運用益への課税あり(一時所得等)非課税(NISA)

※新NISAは月2.5万円を年5%で30年運用した場合の想定。運用成果は保証されません。

結果は明らかです。同じ月3万円でも、「掛け捨て+新NISA」なら、死亡保障を確保しながら、30年後に約2,080万円(新NISA年5%運用時)の資産を作れる可能性があります。積立保険の約1,130万〜1,240万円と比べて、800万円以上の差が生まれる計算です。しかも、新NISAは非課税で、インフレにも強く、いつでも引き出せる。「掛け捨て+新NISA」が、あらゆる面で積立保険を上回る——これが、保障と貯蓄を分離することの威力です。

積立保険が「向いている人」と「向いていない人」の明確な基準

ここまで積立保険の不利な点を解説してきましたが、積立保険がまったく無価値というわけではありません。人によっては、積立保険が合っているケースもあります。あなたはどちらか、セルフチェックしてみてください。

積立保険が向いている人

次のような方は、積立保険が選択肢になります。

  • 投資が絶対に嫌な人:元本変動が心理的にどうしても受け入れられず、「多少効率が悪くても、投資は絶対にしたくない」という方。
  • 強制的に引き出せない環境で貯金したい人:手元にお金があると使ってしまう自覚があり、「簡単に引き出せない」という積立保険の流動性の低さを、逆に「強制貯蓄の仕組み」として活用したい方。
  • 相続税対策をしたい人:生命保険には「500万円×法定相続人の数」までの死亡保険金の非課税枠があり、終身保険を相続税対策として活用するケースがあります。

向いていない人(掛け捨て+運用を選ぶべき人)

一方、次のような方は、「掛け捨て+新NISA」を選ぶべきです。

  • 効率よく資産を増やしたい人:同じお金でより多くの資産を残したいなら、手数料の少ない「掛け捨て+新NISA」が合理的です。
  • インフレに備えたい人:物価上昇に対応できる株式運用で、資産の実質価値を守りたい方。
  • お金の流動性を確保したい人:いざというときに自由に引き出せる状態にしておきたい方。
  • ある程度、自分で貯蓄・運用を管理できる人:新NISAの積立は一度設定すれば自動で続くため、多くの方が該当します。

大切なのは、「お金が戻ってくるからお得」という感情ではなく、自分の性格・目的・資産状況に照らして、冷静に判断することです。多くの方にとっては、「掛け捨て+新NISA」が合理的な選択になります。

アルファ・ファイナンシャルプランナーズが提案する「損をしない保険の黄金比」

独立系FPとして、保険で損をしないための考え方を、シンプルな原則としてお伝えします。

黄金ルール:「保障」と「貯蓄(運用)」は完全に分離する

保険で損をしないための黄金ルールは、たった一つです。「保障」と「貯蓄(運用)」を完全に分離すること。 保障は掛け捨ての保険で安く確保し、貯蓄・資産形成は新NISAなどの効率的な手段で行う——この分離こそが、無駄なく最大限にお金を残す方法です。

積立保険は、この「保障」と「貯蓄」を1つの商品にまとめているために、手数料が高く、インフレに弱く、流動性が低いという弱点を抱えています。それぞれを最適な手段に分ければ、これらの弱点はすべて解消できます。「一石二鳥」に見える商品ほど、実は「二兎を追って一兎をも得ず」になりがちなのです。

固定費である保険料を極限まで抑え、浮いたお金を自分の資産として育てる手順

具体的な手順はこうです。まず、現在加入している保険を洗い出し、積立型の保険があれば、掛け捨てで同等の保障を確保できないかを検討します。掛け捨てに切り替えれば、保険料が大幅に下がります。次に、その浮いたお金を新NISAの積立に回します。これで、保障を維持しながら、お金を効率的に育てる仕組みが完成します。

保険料は固定費です。一度見直せば、その効果は毎月・毎年、何十年にもわたって続きます。月2万円の保険料を削減できれば、それを新NISAで30年運用することで、将来的に大きな資産の差になります。「保険料の最適化」は、家計改善の中でも特に効果の大きい取り組みです。

まとめと次の一歩:我が家の保険料を最適化して「残るお金」を増やそう

この記事の要点を整理します。「掛け捨ては損、積立はお得」という感覚は、必ずしも正しくありません。積立保険には、保険会社の手数料が差し引かれて運用効率が悪い、インフレで固定額の実質価値が目減りする、途中解約で元本割れするという3つの落とし穴があります。

同じ月3万円でも、「積立保険1本」より「掛け捨て保険+新NISA」のほうが、死亡保障を確保しながら、30年後に800万円以上多く資産を残せる可能性があります。積立保険が向くのは「投資が絶対に嫌」「強制的に貯金したい」「相続税対策」といった限られたケースで、多くの方には「掛け捨て+新NISA」が合理的です。保険で損をしない黄金ルールは、「保障」と「貯蓄」を完全に分離すること。これに尽きます。

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「積立保険を見直すべきか判断したい」「掛け捨てへの切り替えと新NISAで家計を最適化したい」という方は、ぜひアルファ・ファイナンシャルプランナーズの無料相談をご活用ください。積立保険の見直しから、掛け捨てへの切り替え、新NISAを絡めた家計最適化まで、特定の保険会社に縛られない独立系FPが中立な立場でサポートします。「なんとなくお得そう」で払い続けてきた保険料を見直し、我が家に本当に残るお金を、一緒に増やしましょう。

よくある質問

Q. 現在加入している終身保険(積立保険)を今すぐ解約すると解約控除で元本割れします。損をしてでも「掛け捨て+新NISA」に乗り換えるべきですか?

A. 契約経過年数と現在の解約返戻金、今後の払込残額によって判断が分かれます。早期解約で大幅に損失が出る場合は、安易な解約ではなく「払済(はらいずみ)保険」への変更が有効なケースが多いです。

Q. 変額保険(ユニットリンクなど)は「保険とNISAを合わせたような商品」と聞きますが、これなら積立保険でもお得ですか?

A. 変額保険は運用成果によって解約返戻金や満期金が変動するためインフレには対応できますが、購入時・運用期間中に差し引かれる「保険関係費用(人件費や保障費)」や「特別勘定の手数料」が新NISAよりも高く設定されています。

Q. 相続税対策として終身保険に入っておくメリットは本当にあるのですか?

A. 生命保険の死亡保険金には「500万円 × 法定相続人の数」という非課税枠があるため、相続税が発生する可能性が高い世帯では、現金を保険に換えておく相続税対策としての合理性があります。

特許取得のライフプラン作成アプリ「マネソル」とは?

「マネソル」は、一般的な家計簿管理・資産管理機能に加え、30,000件以上の相談データをもとに将来のリアルなライフプラン(生涯キャッシュフロー表)を何度でもシミュレーションできる革新的なアプリです(特許第7100917号)。

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この記事の監修者

代表取締役/田中佑輝
アルファ・ファイナンシャルプランナーズ 代表取締役/田中佑輝

アジア金融の中心地であるシンガポールに10年間滞在し、グローバルな金融リテラシーを培う。外資系銀行にてプライベートバンカー、セールスマネジャーなどを経て株式会社アルファ・ファイナンシャルプランナーズを創業。実務の傍ら、Bond University大学院にて経営学修士(MBA)を取得。現場での豊富な実務経験と理論に基づき、単なる運用益にとらわれない「一生涯お金に困らないための資産形成」を提唱。富裕層から一般層まで自身で2,000件以上、代表を務める同社全体ではのべ3万件以上の資産運用のアドバイス実績を持つ。

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