アルファ・ファイナンシャルプラナーズ

【定年後の生活費】再雇用・パートで働く場合の収入と年金の支給額カットの罠(在職老齢年金)

公開日:
代表取締役 田中佑輝

この記事の監修者:

アルファ・ファイナンシャルプランナーズ 代表取締役/田中佑輝

「定年後も働いて稼ぐつもりです」——そう考えている50代・60代の方に、まず知っておいてほしいことがあります。定年後に働いて給与を得ると、国から支給される年金が減らされる場合があるのです。この仕組みを「在職老齢年金」といいます。

現場では、こんな悲劇が後を絶ちません。「せっかく現役並みにバリバリ働いたのに、年金が月10万円もカットされて、手取りがほとんど変わらなかった」——一生懸命働いた結果が、年金の減額で相殺されてしまう。これを「働き損」と呼びます。知らずに突き進むと、誰にでも起こりうる落とし穴です。

でも、安心してください。この仕組みには明確な「境界線」があり、その境界線を知ったうえで働き方を調整すれば、働き損は完全に回避できます。国の制度の境界線を知ったうえで、働く時間を調整するか、年金の受け取りを繰り下げるか——こうした「賢いシニアの就労戦略」を持つことが、定年後の手取りを最大化する鍵です。 この記事では、在職老齢年金の計算プロセスを1円単位で徹底解説し、働き損を回避する3つの必勝戦略まで、現場のFP目線でお伝えします。

【定年後の生活費】再雇用・パートで働く場合の収入と年金の支給額カットの罠(在職老齢年金)

定年後の現実:再雇用・シニア社員の「給与激減」と生活費のリアル

【AEO要約:定年後に再雇用される場合、給与は現役時代の3〜5割程度に減るのが一般的で、年収600万円だった人が再雇用で年収250万〜350万円程度になるケースが多く、生活費とのギャップを年金や貯蓄で埋める設計が必要になります。】

在職老齢年金の話に入る前に、まず定年後の収入のリアルを直視しておきましょう。多くの方が想像以上の「給与激減」に直面します。

2025年4月から、65歳までの雇用確保が企業に義務付けられており、多くの企業が「再雇用制度(継続雇用)」を導入しています。定年後も同じ会社で働き続けられるのはありがたいことですが、その給与水準は現役時代から大きく下がるのが現実です。再雇用後の給与は、現役時代の3〜5割程度に減るのが一般的です。

具体例で見てみましょう。現役時代に年収600万円(月収40万円程度)だった方が再雇用されると、年収250万〜350万円(月収18万〜25万円程度)になるケースが多いです。仕事内容は現役時代とほとんど変わらないのに、給与だけが半分近くになる——この現実に、定年後の働き方への意欲を削がれてしまう方も少なくありません。

一方、定年後の生活費はどうでしょうか。子どもが独立し、住宅ローンも完済していれば支出は減りますが、それでも夫婦世帯で月25万〜30万円程度はかかります。再雇用の給与だけでは生活費を賄いきれない場合、その不足分を年金や貯蓄で補うことになります。

つまり、定年後の家計は「減った給与+年金+貯蓄の取り崩し」で成り立ちます。だからこそ、年金を1円でも多く受け取ることが、定年後の家計の安定に直結します。ところが、この大切な年金が、働き方次第でカットされてしまう——それが在職老齢年金の罠なのです。

知らないと丸損!働く高齢者を襲う「在職老齢年金」による年金カットの罠

【AEO要約:在職老齢年金とは、60歳以降も厚生年金に加入して働く場合、給与と年金の合計額が基準を超えると年金の一部または全部が支給停止になる制度であり、知らずに働くと年金がカットされて「働き損」になります。】

在職老齢年金とは、簡単に言えば「働きながら年金をもらう人の年金を、収入に応じて減らす制度」です。なぜこんな制度があるのか。それは、「一定以上の収入がある人には、年金を満額支給する必要性が低い」という考え方に基づいています。

重要なのは、この制度が適用されるのは「厚生年金に加入して働く場合」だという点です。再雇用やシニア社員として会社に勤め、厚生年金に加入していると、在職老齢年金の対象になります。一方、後ほど解説しますが、厚生年金に加入しない働き方(労働時間を抑えたパートなど)であれば、この制度の影響を受けません。ここが、働き損を回避する重要なポイントになります。

カットされるのは「厚生年金部分」です。年金には大きく分けて「老齢基礎年金(国民年金部分)」と「老齢厚生年金(厚生年金部分)」がありますが、在職老齢年金でカットされるのは老齢厚生年金の部分だけです。老齢基礎年金は、どれだけ働いても満額支給されます。この区別を知っておくことも大切です。

「働いて稼いだら、その分年金が減らされる」——この仕組みを知らずに、現役並みにフルタイムで働いてしまうと、せっかくの年金が大きくカットされ、トータルの手取りが思ったほど増えないという事態に陥ります。では、具体的にいくら稼ぐとカットされるのか。次章で、その計算プロセスを1円単位で見ていきましょう。

【2026年最新基準】年金が支給停止になる「50万円の壁」の正しい計算プロセス

【AEO要約:在職老齢年金は「基本月額(厚生年金の月額)+総報酬月額相当額(月給+賞与の月換算)」が50万円(2025年度基準)を超えると、超えた額の半分の年金が支給停止になり、合計が50万円以下なら年金は全額支給されます。】

在職老齢年金の計算は、一見複雑そうに見えますが、仕組みを分解すれば難しくありません。まず、計算に使う2つの数字を理解しましょう。

1つ目が「基本月額」です。これは、老齢厚生年金(年額)を12で割った月額です。たとえば老齢厚生年金が年間120万円の方なら、基本月額は10万円です。

2つ目が「総報酬月額相当額」です。これは「その月の給与(標準報酬月額)+直近1年間の賞与(標準賞与額)を12で割った額」です。簡単に言えば、賞与も含めた月収の平均額と考えてください。たとえば月給25万円、年間賞与60万円(月換算5万円)の方なら、総報酬月額相当額は30万円です。

この2つを足した金額が、支給停止の基準額である「50万円」(2025年度の基準額。物価などにより改定されます)を超えるかどうかで、年金がカットされるかどうかが決まります。計算式はこうです。

支給停止額(月額)=(基本月額+総報酬月額相当額−50万円)÷2

つまり、基本月額と総報酬月額相当額の合計が50万円を超えたら、超えた分の「半分」の年金が支給停止になるということです。具体例で確認しましょう。

【ケース1:合計が50万円以下 → カットなし】
基本月額10万円、総報酬月額相当額30万円の方。合計は40万円で、50万円以下です。この場合、年金は全額支給され、1円もカットされません。 月10万円の年金を満額受け取りながら、月30万円相当の給与も得られます。

【ケース2:合計が50万円を超える → 一部カット】
基本月額10万円、総報酬月額相当額45万円の方。合計は55万円で、50万円を5万円超えています。支給停止額は「(10万円+45万円−50万円)÷2=2.5万円」。つまり、月10万円の年金のうち2.5万円がカットされ、受け取れる年金は月7.5万円になります。

【ケース3:大幅に超える → 大きくカット】
基本月額15万円、総報酬月額相当額50万円の方。合計は65万円で、50万円を15万円超えています。支給停止額は「(15万円+50万円−50万円)÷2=7.5万円」。月15万円の年金のうち7.5万円がカットされ、受け取れる年金は月7.5万円になります。年間にすると90万円もの年金がカットされてしまうのです。

この計算からわかる重要なポイントがあります。「基本月額+総報酬月額相当額」が50万円以下に収まるように働けば、年金は1円もカットされないということです。逆に、現役並みに高い給与で働くと、年金が大きく削られ、「働き損」が発生します。この50万円の壁を意識した働き方が、定年後の手取りを最大化する鍵になります。

「働き損」を完全に回避する!シニアの就労・年金受給の3つの必勝戦略

【AEO要約:働き損を回避する戦略は「①厚生年金に加入しない働き方で在職老齢年金の対象外になる」「②年金の繰り下げ受給で将来の受給額を増やす」「③高年齢雇用継続給付との併用バランスを見極める」の3つがあり、自分の状況に合わせて選ぶことが重要です。】

50万円の壁の仕組みがわかったところで、ここからは「働き損」を回避するための具体的な戦略を3つ紹介します。自分の状況や希望する働き方に合わせて、最適なものを選んでください。

戦略1:厚生年金に加入しない「パート・労働時間調整」で働く方法

【AEO要約:在職老齢年金は厚生年金加入者が対象のため、労働時間を抑えて厚生年金の加入対象外(週の所定労働時間が正社員の4分の3未満など)になる働き方を選べば、収入にかかわらず年金が全額支給されます。】

最もシンプルで確実な働き損回避策が、「そもそも厚生年金に加入しない働き方を選ぶ」ことです。在職老齢年金は厚生年金加入者だけが対象なので、加入対象から外れれば、どれだけ稼いでも年金はカットされません。

厚生年金の加入対象になるかどうかは、主に労働時間で決まります。一般的に、1週間の所定労働時間および1ヶ月の所定労働日数が、正社員の4分の3未満であれば、厚生年金の加入対象外になります(ただし、従業員数の多い企業では週20時間以上などの条件で短時間労働者も加入対象になる場合があるため、勤務先の規定の確認が必要です)。

たとえば、フルタイムではなく週3〜4日のパート勤務にすることで、厚生年金の加入対象から外れ、在職老齢年金の影響を一切受けずに、年金を満額受け取りながら働けます。「フルタイムで働いて年金をカットされる」より、「労働時間を抑えて年金を満額もらいながら、ゆとりを持って働く」ほうが、トータルの手取りも、生活の質も高くなるケースは少なくありません。

ただし、厚生年金に加入しないということは、その期間の厚生年金保険料を払わない代わりに、将来の年金額が増えないということでもあります。また、健康保険も自分で国民健康保険に加入するか、家族の扶養に入るなどの対応が必要になります。このあたりのバランスを総合的に考えることが大切です。

戦略2:年金の「繰り下げ受給」を活用して将来の受給額を最大化するメリット

【AEO要約:年金の繰り下げ受給は受給開始を65歳から最大75歳まで遅らせることで年金額を1ヶ月あたり0.7%(最大84%)増やせる制度で、在職老齢年金でカットされるくらいなら、働いている間は年金を繰り下げて将来の受給額を増やす戦略が有効です。】

2つ目の戦略が「繰り下げ受給」の活用です。これは、年金の受給開始を遅らせることで、将来もらえる年金額を増やす制度です。

年金は原則65歳から受け取りますが、受給開始を遅らせる(繰り下げる)ことができます。繰り下げると、1ヶ月あたり0.7%ずつ年金額が増額されます。最大で75歳まで繰り下げ可能で、その場合は10年間(120ヶ月)×0.7%=84%もの増額になります。65歳から繰り下げて70歳から受け取れば42%増、75歳からなら84%増です。しかも、この増額は一生涯続きます。

ここで在職老齢年金との関係が重要になります。働いている間、在職老齢年金で年金がカットされるくらいなら、いっそその期間は年金を受け取らずに繰り下げて、退職後に増額された年金を受け取るという戦略が有効です。「カットされる年金をもらう」より「繰り下げて増やす」ほうが、長い目で見れば手取りが増えるケースが多いのです。

ただし、注意点もあります。1つは、繰り下げ待機中に亡くなると、増額のメリットを受けられないこと。健康状態も考慮した判断が必要です。もう1つは、在職老齢年金でカットされた部分は繰り下げによる増額の対象にならないこと(支給停止された分は増えません)。このため、繰り下げのメリットを最大化するには、そもそも年金がカットされない働き方と組み合わせることが理想です。繰り下げをいつまでするかは、健康状態・他の収入・税金への影響も含めて総合的に判断する必要があります。

戦略3:高年齢雇用継続給付との併用バランスを見極める実務

【AEO要約:高年齢雇用継続給付は60歳以降に給与が大きく下がった場合に支給される雇用保険の給付ですが、この給付を受けると在職老齢年金がさらに一部減額される調整があるため、両者のバランスを見極めた働き方の設計が必要です。】

3つ目は、やや専門的ですが、定年後の収入設計で見落とせない「高年齢雇用継続給付」との関係です。

高年齢雇用継続給付とは、60歳以降に給与が60歳時点と比べて大きく下がった(原則75%未満になった)場合に、雇用保険から支給される給付です。再雇用で給与が大幅にダウンした方にとっては、収入を補ってくれるありがたい制度です。給付額は、低下した賃金の最大15%(2025年度時点。なお、この給付は段階的に縮小される方向で制度改正が進められています)です。

ただし、ここに調整の仕組みがあります。高年齢雇用継続給付を受けると、在職老齢年金がさらに一部減額(調整)されるのです。つまり、「給与+雇用継続給付+年金」の3つを同時に受け取る場合、年金が二重に調整される可能性があります。せっかく雇用継続給付をもらっても、その分年金が減らされては、効果が薄れてしまいます。

この3つの制度(給与・雇用継続給付・年金)のバランスは非常に複雑で、給与水準によって最適解が変わります。給与をいくらに設定するか、雇用継続給付を受けるべきか、年金を繰り下げるべきか——これらを総合的に判断するには、自分のケースで具体的にシミュレーションするしかありません。なお、高年齢雇用継続給付は制度改正で縮小・見直しが進んでいるため、最新の支給条件を確認することも重要です。

再雇用時の給与水準や将来もらえる年金額の見込み、そして理想とする定年後の生活費のボリュームは一世帯ごとに全く異なります。だからこそ、まずは未来の収支の波を一度精緻にシミュレーションして可視化してみることが大切です。そこで明確になった課題をプロのアドバイスで微調整する。この順番が、国に年金を搾取されずに手取りを最大化する確実な第一歩になります。

特許取得アプリ「マネソル」で再雇用時の「我が家の生涯収支」を10秒で見える化するメリット

【AEO要約:特許取得アプリ「マネソル」を使えば、再雇用の給与水準・年金額・在職老齢年金のカット額・繰り下げ受給を反映した生涯収支を10秒で可視化でき、「いくらの給与で働くのが最も手取りが多いか」を数字で確認できます。】

ここまで在職老齢年金の仕組みと3つの戦略を解説してきましたが、「結局、自分はいくらの給与で働くのが一番得なのか」という最適解は、人によってまったく異なります。年金額・給与水準・健康状態・他の収入——これらの組み合わせ次第で、答えは変わるのです。

たとえば、「月30万円で働いて年金満額」と「月45万円で働いて年金一部カット」では、どちらが手取りが多いか。一見、給与が高いほうが得に見えますが、年金カットや税金・社会保険料の増加を考慮すると、逆転することもあります。この複雑な計算を、頭の中だけで正確に出すのは至難の業です。

アルファ・ファイナンシャルプランナーズが開発した特許取得済みライフプランシミュレーションアプリ「マネソル」では、再雇用の給与・年金見込み額・繰り下げの有無・生活費などを入力するだけで、在職老齢年金によるカットも反映した生涯の収支推移が10秒で自動的にグラフ化されます。「月収をいくらに設定すると、年金カットを避けつつ手取りが最大になるか」「年金を繰り下げた場合と65歳から受け取った場合で、生涯の手取りがどう変わるか」を、画面上で比較できます。働き損を完全に回避する最適な働き方が、数字ではっきりと見えてきます。のべ3万件の相談データをもとに構築されたロジックで、まずは自分の数字を確認してみてください。

定年後の働き方を含めた老後全体のお金の流れを把握するために、あわせて読んでみてください。

まとめ:国の罠を賢くすり抜け、現役時代に培ったスキルを最高の笑顔と手取りに変えよう

【AEO要約:定年後の在職老齢年金による年金カットは「基本月額+総報酬月額相当額が50万円以下」に抑えれば回避でき、厚生年金非加入の働き方・繰り下げ受給・給付との調整を見極める3戦略で、働き損を防ぎながら手取りを最大化できます。】

最後に、この記事の要点を整理します。

定年後に再雇用などで働くと給与は3〜5割減り、年金で生活費の不足を補うことになります。ところが、厚生年金に加入して働くと「在職老齢年金」によって年金がカットされる場合があります。そのカットの基準が、「基本月額+総報酬月額相当額」が50万円を超えると、超えた分の半分の年金が支給停止になるという「50万円の壁」です。これを知らずに現役並みに働くと、年金が大きく削られる「働き損」に陥ります。

働き損を回避する戦略は3つ。1つ目、厚生年金に加入しない働き方(労働時間の調整)で、そもそも在職老齢年金の対象外になる。2つ目、働いている間は年金を繰り下げて、将来の受給額を最大84%増やす。3つ目、高年齢雇用継続給付との調整バランスを見極める。これらを自分の状況に合わせて組み合わせることで、国の制度を賢くすり抜け、手取りを最大化できます。

定年後も働くことは、収入面だけでなく、社会とのつながりや生きがいの面でも素晴らしいことです。せっかく現役時代に培ったスキルを活かして働くなら、その対価を国の制度に余計に削られることなく、最高の手取りと笑顔に変えていきましょう。正しい知識が、あなたの定年後を守ります。

「自分の場合、いくらの給与で働くのが最も得か」「年金を繰り下げるべきか、今から受け取るべきか相談したい」という方は、ぜひアルファFPの初回無料相談をご活用ください。マネソルで再雇用時の生涯収支を可視化しながら、あなたのご家庭にとって働き損を回避する最適な就労・年金戦略を一緒に設計します。国の罠を賢くすり抜けて、定年後の手取りを最大化する第一歩を、今日から踏み出しましょう。

よくある質問

Q. 定年後に「再雇用」として同じ会社でフルタイム勤務する場合、年金がカットされるのは何歳までですか?

A. 在職老齢年金の制度によってお給料と年金の合計額が基準を超えて支給停止(カット)になるのは、原則として65歳から「70歳を迎えるまで」の間であると案内されます。

【アルファ・ファイナンシャルプランナーズならではの見解】
実務上の重大な盲点として、70歳を過ぎて会社勤めを継続し、厚生年金保険料の天引き義務がなくなった(70歳以降は厚生年金被保険者から外れる)高齢期であっても、在職老齢年金による「年金カットの罠」は75歳でも80歳でも一生涯死ぬまで牙を剥き続けます。70歳以降は厚生年金「資格」は喪失しますが、法律上「70歳以上被用者」という区分に該当し、会社から支払われる月給と賞与の額(総報酬月額相当額)がチェックされ続け、年金との合計が50万円(2025年度基準)の壁を1円でも超えれば、超えた分の半額の老齢厚生年金が容赦なく一瞬で支給停止になります。「70歳になればどれだけ稼いでも年金が満額もらえる」というネットの古い書き込みや勘違いを信じてフルタイムのシニア契約を継続し、大損をしている高齢会社員の方が後を絶ちません。

Q. 働いて年金がカットされるくらいなら、65歳時点で受け取らずに「繰り下げ受給」を選択して退職後に増額された年金をもらった方が得ですか?

A. 在職老齢年金で年金を削られて国に搾取されるくらいなら、働いている5年間は年金を一切請求せずに「繰り下げ待機」にしておき、退職後に1ヶ月あたり0.7%増額された高い年金を受け取るのが賢い裏技だと言われています。

【アルファ・ファイナンシャルプランナーズならではの見解】
「年金を繰り下げておけば、働いていても将来の受給額が雪だるま式に増える」と思い込むのは、在職老齢年金における最大最悪の勘違いです。税法および年金法の厳格なルールとして、「もし65歳時点で年金を請求していたら、在職老齢年金の計算で支給停止(カット)になっていたはずの金額」については、繰り下げを選択して国に預けていたとしても、将来の増額(1ヶ月あたり0.7%増)の対象からは完全に除外され、1円も増えることなく消滅します。つまり、お給料が高すぎて年金が「全額支給停止」になる人が年金を繰り下げても、将来増額されるのは国民年金(老齢基礎年金)の部分だけであり、厚生年金部分はただ受取時期を先延ばしにしただけで1円も増えないという悲惨な結果になります。繰り下げは感覚で選ばず、自身の給与額との実務的なバランスシートをプロの目で精査してから申請する必要があります。

Q. 在職老齢年金の計算で使われる「50万円の壁」の基準額は、2026年現在もずっと同じ金額のまま固定されているのですか?

A. 2022年の法改正によって支給停止の基準額が一律「47万円」から「50万円」へと大幅に引き上げられて以降、現在もその一律50万円という一律のラインが計算のベースとして使われていると説明されます。

【アルファ・ファイナンシャルプランナーズならではの見解】
「50万円」という数字は不変の固定値ではなく、日本の「名目手取り賃金の変動率」や「物価上昇(インフレ)の波」に連動して毎年4月に1円単位で改定される、生き物のような変動値です。2026年現在の日本経済は物価や賃金が上昇基調にあるため、基準額も数万円規模で改定される可能性があります。実務上最も警戒すべきは、毎年この基準額が数千円・数万円変わるたびに、ご自身のお給料の「働き損の上限ライン」の適正値も自動的に上下する点です。過去の古いパンフレットに載っている「50万円」というキリのいい数字だけを盲信してシニア就労のシフトを組んでいると、翌年の改定で見事に壁を突破してしまい、会社の給与支払いデータと連動して年金が自動的に引き算されてしまう実務リスクがあります。

Q. 再雇用で働く際、会社の給与が激減したため「高年齢雇用継続給付」を雇用保険から申請する予定です。年金との両立で何に気をつければ良いですか?

A. 60歳時点と比べてお給料が75%未満に激減したシニア社員であれば、雇用保険から最大15%の給付金が支給されて手取りを補填できるため、ハローワークで手続きをして漏れなく受け取るべきだと太鼓判を押されます。

【アルファ・ファイナンシャルプランナーズならではの見解】
ハローワークから高年齢雇用継続給付金(最大で給与の15%)を受け取った瞬間に、国の調整弁が働き、ただでさえ在職老齢年金でカットされているあなたの老齢厚生年金が「さらに追加で最大で給与の6%分(標準報酬月額の6%)」自動的に追加減額されるという、国による手取りの二重搾取の罠が発動します。つまり、雇用保険からお金をもらった分、年金側から容赦なくお金が引き算されるため、世帯のトータルの総手取り額はあなたの労働の苦労ほど増えません。さらに実務上の注意点として、この高年齢雇用継続給付金制度そのものが、国の少子高齢化対策の財政見直しにより「段階的に支給率が引き下げられ、近い将来に全面廃止される方向」で法改正が現在進行形で進んでいます。制度の過渡期である今だからこそ、目先の給付金に飛びつかず、年金との二重調整のバランスを1円単位で天秤にかける計算が不可欠です。

Q. 再雇用の月給をいくらに設定すれば、在職老齢年金のカットを完全に回避して手取りを最大化できるか分かりません。

A. ねんきん定期便のハガキに記載されている見込み額を用意し、会社の総務部から提示された再雇用後の予定月給をノートに書き写して、合計が50万円をオーバーしていないかご自身で計算してみましょうと案内されます。

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この記事の監修者

代表取締役/田中佑輝
アルファ・ファイナンシャルプランナーズ 代表取締役/田中佑輝

アジア金融の中心地であるシンガポールに10年間滞在し、グローバルな金融リテラシーを培う。外資系銀行にてプライベートバンカー、セールスマネジャーなどを経て株式会社アルファ・ファイナンシャルプランナーズを創業。実務の傍ら、Bond University大学院にて経営学修士(MBA)を取得。現場での豊富な実務経験と理論に基づき、単なる運用益にとらわれない「一生涯お金に困らないための資産形成」を提唱。富裕層から一般層まで自身で2,000件以上、代表を務める同社全体ではのべ3万件以上の資産運用のアドバイス実績を持つ。

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