住宅ローン控除は、マイホームの取得や増改築におけるローン残高をもとに、所得税や住民税が一定程度差し引かれるお得な制度です。
所得基準や物件要件を満たし、確定申告や年末調整で正しく手続きを行えば減税措置を受けられます。
本記事では、住宅ローン控除(住宅ローン減税)の仕組み、ふるさと納税やペアローンとの関係、確定申告の流れなどをわかりやすく解説します。
2025年以降の法改正にも触れていますので、住宅ローン控除がはじめての方は、ぜひ参考にしてください。
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住宅ローン控除・住宅ローン減税の仕組み
はじめに、住宅ローン控除(住宅ローン減税)の仕組みや、適用条件などから見ていきましょう。
減税が受けられる建物の条件や上限額など、申請手続きでつまずかないよう基本的な部分から解説します。
住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)の基本概要
住宅ローン控除とは、居住用の住宅を購入する際の住宅ローン年末残高に応じ、所得税などの納税額を減らせる仕組みのことです。
会社員の場合は、年末調整や初年度の確定申告を行うと、源泉徴収された税金から減税分が戻ってくるため、結果として手取り額が増えることになります。
住宅ローン控除の正式名称は「住宅借入金等特別控除」と呼ばれ、新築だけではなく増改築・中古住宅の購入でも、条件を満たせば控除が受けられます。
控除が実施されると、給与から天引きされた所得税が還付されるか、翌年度の住民税で減税される形となり、収入によっては控除期間中毎年20万円以上の税金が戻ってくる場合もあります。
ただし、無条件で控除が受けられるわけではなく、所得や物件の床面積、居住開始時期など細かな条件をクリアしなければいけません。
また、会社員でも控除初年度は自動控除されず、確定申告を行わないと控除を受け損ねるケースがあるため注意が必要です。
制度を正しく理解しておかないとメリットを受け損ねることもあるため、控除の仕組みや手続き方法、必要書類などは正確に理解しておきましょう。
住宅ローン控除|控除額の決まり方
住宅ローン控除額は、年末のローン残高に控除率をかけて求めます。
入居した年、住宅の性質(一般住宅か、長期優良住宅などの認定住宅か)によっても、控除される上限額や適用期間が違うため、制度の中身はしっかり理解しておきましょう。
具体的な控除額は、12月末に金融機関から発行される「残高証明書」にあるローン残高に、所定の割合(例:0.7%や1%)を掛け、その年の控除可能額を算出していきます。
なお、現行制度(令和4年~令和7年入居)では、控除率が1%から0.7%に見直され、控除期間は最長13年間に延長されています。
※既存(中古)住宅の控除期間は10年
※2019年度税制改革で13年間に延長
留意すべきなのは、手続きを忘れると自動では控除されない点です。サラリーマンでも、初年度は自分で確定申告をしなければいけません。
借り換えや繰上げ返済を行うと残高が変わり、控除額も変わってきますので、常に最新情報をもとに正しく計算する必要があります。
参考:国税庁「No.1212 一般住宅の新築等をした場合(住宅借入金等特別控除)」
住宅ローン控除|適用期間や上限額
住宅ローン控除の適用期間は、最長13年(10年で終わる場合もある)で、住宅の性能や入居した時期によって変わります。
なお、住宅ローン控除制度の適用期限は現行では令和7年入居分までとなっており、その後の延長や内容については今後の税制改正で検討されます。
長期優良住宅や低炭素住宅などに該当すれば、上限額が大きく設定されることも珍しくありません。
認定長期優良住宅を新築し、一定の期間内に居住を始めた場合は、控除の対象となるローン残高が最高4,500万円まで認められる場合もあります。
適用を受けられる借入残高の上限については、下記の通り住宅の種類ごとで決められています。
- 認定長期優良住宅、認定低炭素住宅 などの省エネ性能の高い住宅
→借入限度額4,500万円(年末残高×0.7%=最大31.5万円控除)
- ZEH水準省エネ住宅
→借入限度額3,500万円(最大24.5万円)
- 省エネ基準適合住宅
→借入限度額3,000万円(最大21万円)
参考:国土交通省資料「住宅ローン減税を受けるには省エネ性能が必須となります」
各年の控除額は、それぞれの上限内で年末残高の0.7%に相当する金額となり、控除しきれなかった額は、「控除限度額=所得税の課税総所得金額等の5%(最高97,500円)」を限度に翌年度分の個人住民税から控除することが可能です。
なお、2025年度(2025年1月1日以降)は、子育て世代等が取得する住宅の床面積要件のみ変更が行われています。
参考:国土交通省資料「住宅ローン減税等に係る所要の措置(所得税・個人住民税)」
住宅ローン控除|対象となる人や適用条件
住宅ローン控除は「誰でも受けられる」制度ではありません。具体的には、下記の要件を満たす必要があります。
入居期限 | ・住宅取得から6ヵ月以内に居住を開始していること ・購入後長期間空けている場合は、適用を受けられない ・控除を受ける各年の12月31日まで、継続してその住宅に住んでいること |
住宅の床面積 | ・取得住宅の登記上の床面積が50㎡以上あること ※専有部分で判断する ・床面積の1/2以上が自己の居住用であること ※令和2年度税制改正で特例措置として床面積要件が緩和され、合計所得金額1,000万円以下の場合に限り40㎡以上50㎡未満の住宅も対象 |
所得要件 | ・住宅ローン控除を受ける年の合計所得金額が2,000万円以下であること ・合計所得には給与所得のほか、不動産収入や株式譲渡益など、その年のすべての所得が含まれる |
ローンの借入条件 | ・返済期間が、10年以上にわたる分割返済の住宅ローンであること ※ボーナス一括払いのような一時払い的なローンや、短期で完済予定の借入れは該当しない ・親族や知人からの借入れによる購入資金は適用外 ・勤務先からの借入れの場合でも無利子 ・極めて低利(年0.2%未満)の借入れは対象ローンに含まれない |
中古住宅の要件 | ・中古住宅は一定の耐久性 ・安全性基準を満たす必要がある ・耐震基準適合証明書などにより、地震に対する安全性が確認できる住宅であること |
重複適用の禁止 | ・居住の年及びその前後2年(計3年)の間に、自身の居住用財産の売却に係る特例措置(例えば3,000万円特別控除や買換え特例など)を適用していないこと ※過去に自宅を売却して大きな税特例を受けている場合、新たな住宅ローン控除との重複適用はできない(譲渡損失の繰越控除との併用は可能) ・2つ以上の住宅について同時に住宅ローン控除を受けることはできず、主に居住の用に供する一物件に限られる |
以上のほかにも、省エネ改修工事やバリアフリー改修の場合の特例要件(別途「住宅特定改修特別税額控除」を選択適用するか住宅ローン控除を適用するかの選択制)、住宅取得等資金の贈与を受けた場合の取扱いなど、細かな規定があります。
基本的には 「自分が住むための住宅」であること、「適用期限内の新築・取得または一定の増改築」であること、「適正なローンを組んでいること」という3点が満たされていれば、住宅ローン控除の利用は可能です。
適用を受けられるか迷う場合は最寄りの税務署や国税庁のサイトで確認しましょう。
2025年の税制改正による住宅ローン控除の変更点
2025年以降も住宅ローン控除は継続される見込みですが、一部の条件を満たさない場合は、控除率や借入上限に差が出る可能性があります。
2025年以降の法改正で、「控除率や期間がどう変わるのか」「10年目以降の年末調整をどう扱うのか」といった論点がどう変わるのかについても見ていきたいと思います。
2025年以降の控除率・控除期間はどう変わる?
結論から言うと、2025年以降の住宅ローン控除に関する変更予定などは未定です。
ただし、省エネ住宅や長期優良住宅のような認定基準を満たしていないと、上限額が抑えられる可能性はあるかもしれません。
具体的な制度設計は年度ごとに微調整されることがありますが、一律で控除率が下がるわけではないため、2025年に住宅を取得する方も現行の枠組みに基づいて計画を立てて問題はありません。
購入予定の物件が控除に該当するかどうかや、控除額がどうなるかについては、国税庁のサイトなどをよく確認しておきましょう。
10年以降の年末調整はどうなる?
控除期間が13年の人は、10年目以降も同じように年末調整すれば控除が受けられます。
現在は、原則として年末の住宅ローン残高に0.7%の控除率を乗じて控除額を計算する方式です。
認定住宅等を取得した場合は、「(住宅取得費用-消費税)×2%÷3」の計算式を用いるため注意しましょう。
控除期間は住宅取得時に決まっているため、「自分は延長対象か否か」を、特に確認する必要はありません。
なお、2019年10月〜2022年12月末までに入居した「消費税10%が適用された住宅」で、13年間の特例措置を受けている場合は「年末の借入残高×0.7%」または「住宅取得価格×2%÷3」のどちらか低い方が適用されていました。
しかし、2023年以降の住宅ローン控除では、この計算方式(住宅取得価格×2%÷3)は適用されません。
控除に関するミスや思い違いを防ぐには、入居した年や性能要件による違いをよく確認しておくことが重要です。
参考:【確定申告書等作成コーナー】-認定住宅等新築等特別税額控除と住宅借入金等特別控除の違い
住宅ローン控除を適用する条件
住宅ローン控除を受けるためには、物件の種類や住宅の面積、所得制限など、いくつかの条件を満たしている必要があります。
住宅の内容によって控除の条件が異なるため、新築や中古、リフォームなどの条件別で詳しく見ていきましょう。
種類 | 所有 | 床面積 | 居住部分の割合 | 返済期間 | 借入限度額 | 控除期間 | 控除率0.7% | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
新築 | 認定住宅 (長期優良・低炭素) | 2,000万円以下 | 50㎡以上 | 床面積の2分の1以上が居住用 | 10年以上 | 4,500万円 | 13年間 | 31.5万円 |
ZEH水準 省エネ住宅 | 〃 | 〃 | 〃 | 〃 | 3,500万円 | 13年間 | 24.5万円 | |
省エネ基準 適合住宅 | 〃 | 〃 | 〃 | 〃 | 3,000万円 | 13年間 | 21万円 | |
中古 | 認定住宅 ZEH水準省エネ住宅 省エネ基準適合住宅 | 〃 | 〃 | 〃 | 〃 | 3,000万円 | 10年間 | 21万円 |
その他の住宅 | 〃 | 〃 | 〃 | 〃 | 2,000万円 | 10年間 | 14万円 |
注)床面積40㎡以上50㎡未満は年収1,000万円以下
新築物件の場合
新築の場合は、下記3つの条件を満たしている必要があります。
- 床面積が50㎡(住宅の床面積が40〜50㎡未満については、その年の合計所得金額が1,000万円以下)
- 控除を受ける年分の合計所得金額が2,000万円以下
- ローン返済期間が10年以上
店舗併用住宅の場合も、居住用部分が延べ床面積の2分の1以上であれば控除は可能です。
しかし、控除を受けるには新築後6ヶ月以内に入居を開始する必要があるため、工事完了の時期や引っ越しスケジュールがずれると要件外になってしまう可能性があります。
引き渡しから入居までのスケジュールは、抜かりなく確認しておきましょう。
また、控除を受けるには所有権移転登記やローン契約書などの書類手続きが必要で、初年度の確定申告に必要な資料を十分にそろえておかないと、最悪控除が受けられないことがあります。
書類の不備があれば控除を受け損ねる可能性があるので、注意しましょう。
新築の場合はほぼ控除対象になる可能性が高いですが、いつ着工し、いつ完成するかといったスケジュール管理が重要です。
ハウスメーカーなどともよく連携して、書類なども不備がないように準備しておきましょう。
中古物件の場合
中古住宅購入でも住宅ローン控除は受けられます。
条件は新築物件で定められている床面積や所得制限、返済期間10年以上といった点は同じです。
ただし、築年数や耐震基準といった追加チェック事項がある点は注意しましょう。
具体的には、一定の耐震性能を備えていることを証明できれば控除対象になります。
古い物件で耐震基準がクリアできていないとなると、控除が受けられないケースもあるため、不動産販売会社に建物の状況をよく確認しておきましょう。
中古住宅は1982(昭和57)年以降に建築された、新耐震基準適合住宅でなければいけません。
中古物件は、売買契約書や引き渡し日の記載が重要です。譲渡人と交わす書類が不完全だと、確定申告で必要な要件を証明しきれないケースがあるからです。
購入予定の中古物件が住宅ローン控除の対象になるかどうかは、早めに確認しておきましょう。
仲介業者の説明を鵜呑みにせず、国税庁のサイトなど公的情報をよく確認しておくことがポイントです。
リフォームの場合
リフォームでも、住宅ローン控除を受けられる場合があります。
メインの要件は新築や中古と大きく変わりませんが、床面積が50㎡を下回らないことや、控除を受ける年分の合計所得金額が2,000万円以下であることなどが条件となります。
ただし「ローンの返済期間が10年以上か」、「増改築の結果として居住部分が一定面積を確保できるか?」という点見落とすことも多いため注意しましょう。
特に注意したいのは、リフォームにおける契約書や施工内容が曖昧だと、控除要件を満たす工事なのかどうか証明しにくい点です。
増改築が完了しても、登記が追いつかずに面積証明ができないケースもあります。
リフォームには多種多様の工事パターンがありますが、制度の対象になり得るかどうかを見極めるのは難しい部分があります。
控除を前提にリフォームを計画する場合は、リフォーム会社とよく打ち合わせを重ねておきましょう。
低炭素住宅の場合
低炭素住宅の認定を受けた物件は、一般的に税制優遇が手厚いことが多いですが、所得制限が2,000万円以下で、かつ認定してもらうのにかなりの労力が必要になる点には注意しましょう。
4,500万円の限度額を利用するには、低炭素建築物新築等計画の認定を得る必要があります。
返済期間10年以上や、床面積40㎡以上(所得1,000万円以下の場合)といった基本的な条件は共通です。
省エネ性能を満たすには、設計段階から対応が必要です。
低炭素住宅は行政などの認定を受ける必要があり、事前に基準を確認しておかないと控除を受け損ねることもあるため注意しましょう。
長期優良住宅の場合
長期優良住宅で住宅ローン控除を受ける場合も、本来の規定通り「限度額4,500万円」「控除期間13年」「所得は2,000万円」「床面積40㎡(年収1,000万円以下)」といった条件は同じです。
ただし、耐震性や省エネ性能など細かい基準をクリアし、認定証明を受けることが前提です。
高い断熱性能や劣化対策などが評価されて認定が取得できれば、大きい借入残高を控除対象にできます。
たとえば「上限4,500万円でも控除対象」となるため、条件次第では大幅な減税効果が期待できるでしょう。
ただし、認定を取るための手数料が高かったり、建物価格も高額になったりする点には注意が必要です。
一方で、将来的な税制優遇を合わせると、長期的に見てプラスになるケースが多いでしょう。
家の性能向上と税制優遇をセットで考えたい人に最適ですが、申請手続きに時間と費用がかかるので早めの準備がポイントとなります。
【完全保存版】住宅ローンの申込〜融資の流れは?返済はどうやって進める?
住宅ローン控除での控除額シミュレーション
住宅ローン控除は、実際にどのくらい減税が受けられるのか具体的にイメージしづらい一面があります。
基本的なシミュレーションのほか、ペアローンや借り換え、繰上げ返済など特殊な状況でどう計算結果が変わるのかなど、詳しく見ていきましょう。
年末残高と控除率をもとにした控除額シミュレーション
控除額を確認したい時は、「年末残高×控除率」でシンプルにシミュレーションができます。
融資実行時には控除期間と控除率が確定するので、返済予定表があればおおよその節税額は計算できるでしょう。
ただし適用期間や、住宅が一般住宅か認定住宅かで控除額が変動するため、一概に「いくら節税できる」とは言い切れません。
年収500万円の会社員が3,000万円を借りた場合で見ると、2024年〜2025年に入居した新築の長期優良住宅であれば、13年間合計で約200万円超の控除が見込めるでしょう。
ただし、これはあくまでモデルケースなので、実際には借入金利やボーナス返済の有無、消費税率などによっても違いが出ます。
注意したいのは、よくあるシミュレーションツールが、必ずしも最新の税制に対応しているとは限らないことです。
具体的な控除額を知りたいなら、税理士やファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談して正確な数値を把握すると良いでしょう。
ペアローン・連帯債務の場合の控除額シミュレーション
ペアローンや連帯債務で住宅ローンを組んでいる場合は、夫婦それぞれの借入分に応じて控除額が変わってくるため、複雑なシミュレーションが必要になってきます。
例えば、夫が3,000万円、妻が1,000万円のように分割して融資を受けると、2人とも各自の所得税から控除を受けられるので、1人で4,000万円を借りる場合と比べてトータルの減税額が増すことがあります。
ただし連帯債務など借入形態が複雑な場合、金融機関ごとに手数料や保証料が別々に発生することもあり、減税メリットだけでなく諸費用も含めたシミュレーションが必要です。
また、夫婦それぞれの収入状況が変化するリスクにも注意しなければいけません。妻が離職した場合は、控除対象の税額が算出されないため、想定していた控除額は下がります。
ペアローンを利用する場合は、2人の収入プランや将来設計を加味し、メリットとデメリットを慎重に見極めておくようにしましょう。
借り換える場合の控除額シミュレーション
借り換えでも、基本的な控除計算式は「年末残高×控除率」で変わりません。
借り換えによって一時的に借入金が増える(諸費用を上乗せするなど)の場合でも、税制上は本来の年末残高分が控除の対象となります。
借り換えそのものにかかる諸費用は意外に大きいため、住宅ローン控除と金利メリットとを合わせてシミュレーションするのがポイントです。
借り換える時は、単純に金利が安いからと飛びつくのではなく、トータルコストをシミュレーションしてから決めるようにしましょう。
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繰上げ返済した場合の控除額シミュレーション
繰上げ返済をすると年末残高が減るため、住宅ローン控除額も比例して縮小します。
控除期間が残っている人にとっては、「返済を急ぐよりも、控除をフル活用したほうが結果的に得」という考え方もあるので、どちらが有利かは個々のケースによります。
具体的には、期間短縮型で繰上げ返済をするとローン完済が早まる一方、控除を受ける年数が少なくなる可能性があります。
返済額軽減型であれば返済期間は変わらず、月々の負担が減る代わりに年末残高が小さくなるため控除額もダウンする、といったイメージです。
忘れがちなのは、繰上げ返済にまわす資金を手元に残し、投資や別の用途に使ったほうが効果的なケースもある点です。
金利が低い住宅ローンの場合、控除メリットを考慮すると、繰上げ返済の優先度が下がる場合があります。
繰り上げ返済をする際は、節税効果と利息軽減効果、手元資金のバランスをよくシミュレーションしておきましょう。
住宅ローン控除とふるさと納税は併用してはいけない?
住宅ローン控除とふるさと納税は、同じ年に実施すると控除額が重複してしまうように思えますが、制度の仕組みは異なります。
そのため、実は両方を組み合わせて利用することは可能です。
ただし、住民税と所得税の控除額の合計が納税額を上回るわけではないため、実際の節税効果や控除額の関係を理解しておく必要があります。
住宅ローン控除とふるさと納税併用時の注意点
住宅ローン控除とふるさと納税を両方利用することは可能ですが、控除対象となる税金には限度があるため、重複によって大きな得をするわけではありません。
上手に組み合わせれば、どちらも一定程度の税額控除が受けられる効果があります。
具体例として、住民税から住宅ローン控除分が差し引かれ、残った分をふるさと納税で控除するイメージになります。
ふるさと納税には年収に応じた寄附上限額があり、住宅ローン控除にも住民税の控除上限があるので、両者が重なると控除が少なくなる場合がある点には注意が必要です。
住宅ローン控除を受ける手続き・確定申告のやり方
住宅ローン控除を初めて適用する年は、給与所得者でも確定申告が必須です。
2年目以降は年末調整で対応できることが多く、手続きも簡単になるでしょう。
初年度申告の具体的な流れや申請書類、さらによくあるトラブルと対処法についても見ていきたいと思います。
初年度に住宅ローン控除を受ける方法
住宅ローン控除を受ける場合は、初年度のみ自分で確定申告を行わなければいけません。
会社員であっても、この手続きを怠ると住宅ローン控除は適用されないので注意しましょう。
具体的には、確定申告書と「住宅借入金等特別控除額の計算明細書」を作成し、契約書のコピーや登記事項証明書、ローン残高証明書などを添付して税務署に提出します。
毎年3/15までには申告する必要があるため、引き渡し後すぐに書類を収集しておくのが望ましいでしょう。
一度確定申告を行い、税務署に認められれば、翌年以降は勤務先の年末調整で控除が継続されます。
引っ越しや契約直後は慌ただしくなることも多いですが、申告漏れがないように注意しておきましょう。これを逃すと大きな節税機会を失うことになるため、早めの準備が重要です。
確定申告の書き方と申請手順|必要書類
確定申告は、国税庁が公開しているフォームや計算明細書のフォーマットに従い、ローン残高や入居日、物件情報を正確に入力すればスムーズに手続きができます。
確定申告書AまたはBの所得控除欄とは別の「住宅借入金等特別控除の計算明細書」に、金融機関が発行する「年末残高証明書」の金額を転記します。
併せて、登記事項証明書や売買契約書の写しなど、住宅を取得した事実を示す資料も提出しましょう。
- 名義が家族と共有になっているのに書類上で按分が反映されていない
- 住宅の住所が住民票と一致していないために認められない
取得した住宅の住所と住民票が一致していないと、居住しているとみなされずに、金融機関から調査を受けることになります。
住宅ローンは居住用住宅の取得を支援している商品であり、そこに住んでいない場合、一括返済を求められるため注意しましょう。
ミスや不備が出ないように、確定申告をするときは余裕を持って書類を準備するのが大切です。
慣れない確定申告は大変ですが、国税庁のウェブサイトや説明動画を参考に進めれば難しくありません。
住宅ローン控除でよくあるトラブルと注意点
条件や手続きに対する理解が浅いまま家を購入すると、想定していた控除が受けられない事態になる可能性が高いです。
中古住宅で「4,000万円まで控除できると聞いたのに、実際には2,000万円までだった」というようなケースは典型的な例です。
住宅ローンを借り換えた後に、年末残高証明書が正しいタイミングで発行されず、年末調整に間に合わなかったといったトラブルもあります。
初年度申告時に間違いがあると、修正手続きが必要になり、余計な手間や時間がかかるため注意しましょう。
業者や金融機関の説明だけを鵜呑みにせず、自分でも公的な資料を調べて要件をきちんと理解することが大切です。
あとから「こんなはずでは」と後悔しないためにも、各種手続きや制度ルールを把握しておきましょう。
【元融資担当者が解説】住宅ローンの審査はどこを見られる?通過率をアップさせるためのポイント
住宅ローン控除でよくある質問
住宅ローン控除のルールは複雑で、税制改革で変更になることもあり、わからない内容も多いでしょう。
最後に、住宅ローン控除でよくある質問にもお答えしていきたいと思います。
住宅ローン控除はいつまで続きますか?なくなるって本当ですか?
住宅ローン控除は法改正によって幾度か延長され、直近では2025年末まで延長が決定しています。
そもそも当初は2021年で終了予定でしたが、社会情勢や住宅市場への配慮などで延長措置が取られている状況です。
ただし先のことは確定していないため、将来なくなる可能性も完全には否定できません。早めに情報収集をして、現行ルールで活用できるうちに手続きするのが望ましいでしょう。
住宅ローン控除の確定申告|必要書類を教えてください
確定申告には下記の書類が必要です。
- 確定申告書(AまたはB)
- 住宅借入金等特別控除額の計算明細書
- 住宅ローンの年末残高証明書
- 建物や土地の登記事項証明書
- 売買契約書(または請負契約書)のコピー
これらの書類で「いつ」「どんな住宅を」「誰が所有しているのか」「どれだけのローン残高があるのか」を証明する形になります。
提出前に不備がないかしっかり確認しましょう。
住宅ローン控除「2年目」も確定申告が必要ですか?
給与所得者の場合、初年度のみ確定申告が必要で、2年目以降は年末調整で住宅ローン控除が反映されます。
一方、自営業者は毎年確定申告をしなければいけません。会社員でも、年の途中で転職したなどイレギュラーがあれば別途手続きが発生することがあります。
住宅ローン控除「10年以降」の年末調整はどうなりますか?
10年や13年で期間が終わる人は、その時点で控除が終了します。
控除期間は入居した年の制度で確定するため、途中で税制改正があっても、すでに入居済みの人の控除期間が変更されることはありません。
なお、2019年10月〜2022年12月末までに入居した「消費税10%が適用された住宅」で、13年間の特例措置を受けている場合は「年末の借入残高×0.7%」または「住宅取得価格×2%÷3」のどちらか低い方を適用できるようになっています。
2023年以降の住宅ローン控除では、この計算方式(住宅取得価格×2%÷3)は適用されません。
住宅ローン控除「2025年」はどうなりますか?
2025年12月末までに入居した場合、所定の条件を満たせば従来と同等の控除が受けられる見込みです。
2025年度(2025年1月1日以降)の変更点は、子育て世代等が取得する住宅の床面積要件のみです。
また、認定住宅以外は2024年から控除対象外ですが、2023年までに建築確認が所得できていれば2,000万円の借入限度額まで控除可能です。(多くの住宅は完成していると考えられるため)
適用条件は毎年の税制改正で前後するため、常に最新情報を入手しておくよう心がけましょう。
ペアローンで連帯債務者の妻が無職になった時の住宅ローン控除はどうなりますか?
妻に所得がなくなった時点で、妻の分として組んでいたローンの控除額は算出されません。
無職になって所得がゼロになった時点で、妻は控除が受けられなくなります。
ただし、控除すべき税額が算出されないだけで控除枠が失われるわけではないため、復職して所得を得たなら、控除期間が残っている場合に限り控除を受けられます。
具体的には、13年間の控除期間中に2年間所得がなく、復職して残り11年間あるなら、その期間は控除を受けられます。
したがって、ペアローンを組む際は、今後の働き方や収入変動を視野に入れた判断が重要です。
住宅ローン控除のまとめ
住宅ローン控除(住宅ローン減税)は、マイホーム取得やリフォームを検討している人にとっては、大きな節税チャンスです。
所得制限や床面積などの基本要件を満たし、省エネ住宅や長期優良住宅など性能の高い建物なら、より手厚い優遇を受けることもできるでしょう。
ただし初年度は確定申告が必須で、必要書類や計算方法を誤ると受け取れるはずの控除を逃す恐れがあります。
住宅ローンは大きな負担ですが、控除制度を活用することで、総返済額を大きく軽減できる可能性があります。
正しい知識を得て、余裕をもって手続きを行い、住宅取得を安心・お得に進めましょう。
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