住宅ローンは高額、かつ長期にわたり返済を続けなければならないため、金融機関は審査に慎重です。
近年はネット銀行の台頭や多様な働き方の広がりで、審査は柔軟になりつつありますが、審査難易度が下がったわけではありません。
今回は、住宅ローンを利用予定の方に向けて、審査で見られるポイントや審査通過のコツを解説します。
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住宅ローンの申込から審査の流れ
住宅ローンの審査に通過するには、申込~仮審査~本審査という3つのステップを踏む必要があります。
仮審査では、申込者の属性や返済比率がチェックされ、本審査では担保評価や団信加入など詳細が審査されます。
申込から融資実行までには2週間程度を要するケースが多く、書類の不備や金利タイプの変更などイレギュラーがあると、さらに日数が延びるかもしれません。
住宅ローンに申込む際は、おおまかな流れやスケジュール、注意点などを理解しておきましょう。
【保存版】「住宅ローンを借りる流れは?申込〜融資までにすること・必要書類・気をつけるポイントを専門家が解説」
申込
住宅ローンを利用する際は、まずWebや銀行窓口、公庫などで申込手続きを始めましょう。
金融機関により必要書類は若干異なりますが、基本的には下記の書類が必要となります。
- 本人確認書類
(運転免許証・パスポート・マイナンバーカード・健康保険証など) - 収入がわかる書類
(直近の源泉徴収票・確定申告書など) - 物件関係の書類
(チラシ・パンフレットなど)
ちなみに、物件に関する登記書類は金融機関が取得してくれることもありますが、不動産会社や販売会社が用意している図面や仕様書をあわせて提出すると、手続きがスムーズです。
仮審査段階でざっくりした広告やパンフレットを出すだけでOKなケースもあるものの、本審査では契約関係の正確な書類が求められます。
なお、正式な申込をすると仮審査に進みますが、仮審査が行われた履歴は個人信用情報に「住宅ローン申込」として残ります。
不要な信用情報は後々のローン審査にも影響が出るため、「自分の審査通過レベルを確かめたい」など、お試し審査を目的に申込むのは控えたほうがいいでしょう。
また、仮審査の時点で本審査に必要な書類も揃えておけば、提出漏れや不備を指摘されるリスクを減らせます。
金融機関の担当者も手続きが楽になるため、本審査でも前向きに取り上げてもらいやすいでしょう。
仮審査
仮審査では、申込者の属性(年収・勤続年数・返済比率)や、信用情報がチェックされます。
仮審査の段階で申込希望額が大きく「返済比率を超える」と判断されると、審査通過は難しいでしょう。
また、申告内容と実際の属性が大きく乖離していると、保証会社で否決になる可能性があります。
物件については広告レベルの書類でざっくり担保評価が想定され、「支障なし」となれば本審査に進めるでしょう。
なお、即日審査回答が可能なネット銀行もありますが、通常は審査回答まで3~5営業日程度かかります。
なぜなら、通常は銀行の支店内で書類チェックや稟議書作成、保証会社とのやり取りなどが必要になるためです。
極端に急いで審査回答を求めると書類不備が出やすく、否決リスクも高まるため、余裕を持って申込みましょう。
- 属性面でNG
勤続年数が短すぎる、非正規雇用で収入が不安定
- 返済比率オーバー
希望額が高い、既存のマイカーローンなどで返済額がかさんでいる
- 担保評価に問題あり
市街化調整区域など、物件が担保規定外だった
- 信用情報に傷
延滞履歴や自己破産などが発覚した
ちなみに、金融機関は保証会社に「意見書」を添えて申込書を送ります。
返済比率や物件が規定外でも、特別な事情を意見書で説明し、保証会社が了承すれば仮審査を通してくれることもあります。
しかし、一般的には、こうした例外的承認を得るのは簡単ではありません。
たとえ物件に問題がなくても、申込者側の延滞歴や、勤続年数などの要件が厳しい場合は否決されるでしょう。
本審査
本審査では、仮審査で許容範囲と判断された属性を、より細かい書類(源泉徴収票複数年分や売買契約書など)で裏づける作業が行われます。
担保価値を正確に評価するため、物件の法務局書類や重要事項説明書を精査し、団信の健康チェックも入ります。
本審査通過までには3~10営業日ほどかかりますが、書類不足や団信審査の遅れがあると延びる場合があります。
【本審査時に必要な書類】
基本的な書類 | 本人確認書類 |
---|---|
収入関係の書類 | ・会社員、公務員 → 3年分の源泉徴収票と住民税決定通知書(市区町村発行) ・自営業、フリーランス →直近3年分の確定申告書と所得税の納税証明書(その1・その2) ・法人役員 →直近3期分の決算報告書 |
物件関係の書類 | ・売買契約書 ・重要事項説明書(必須) ・新築住宅や分譲マンション →建築確認済証・検査済証など ・中古住宅や中古マンション →登記事項証明書、公図、地積測量図、建物図面など ・土地購入+注文住宅 →土地売買契約書、建築工事請負契約書、建築確認済証、設計図面など |
なお、仮審査を通過しても、下記の事例に該当すると本審査で落ちるケースがあります。
- 団信審査に通らない
健康状態に問題があると保険加入が認められず、保証付きローンが組めない。
- 提出書類の不備
確定申告書が揃わない。自営業で未申告期間があるなど。
- 仮審査の申告と乖離
年収を過大申告していた。カードローンなどの借入を隠していた。
- 信用情報の変化
仮審査後に新しいクレジットカードを作り借入が増えた、ローン延滞を起こした。
実際には、仮審査を通過すれば本審査に通ることが多いですが、団信が一番の落とし穴になります。
健康上の理由だけでなく、既往歴をあいまいに書いてしまい、後々発覚すると審査で否決されかねません。
もし本審査で落ちてしまった場合は、別の金融機関で申込みをやり直すか、団信不要の商品(フラット35など)を検討するなどの方法があります。
融資
本審査に通過すると、住宅ローンの契約を済ませ、いよいよ融資が下ります。
一般的には承認から1週間~10日程度で融資は可能です。
引き渡し日が、売主や不動産仲介業者、司法書士との間で合意されているなら、その日までに手続きを完了させる必要があるため、具体的な融資実行日は金融機関に確認しておきましょう。
書類不備や日程調整に時間がかかると決済日を延長しなければならないこともあり、できれば10日ほど余裕を見ておくと安心です。
ちなみに、物件別で見た「住宅ローン申込~融資までの流れ」は、下記のように違ってきます。
金融機関や不動産業者に任せきりにするのではなく、自身でも理解しておきましょう。
- 購入物件を選ぶ
- 売買契約締結(ローン特約をつける)
- 住宅ローン仮審査
- 仮審査内諾
- 本審査
- 保証承諾
- 融資実行
- 所有権移転登記
- 土地と工務店を探す
- 土地売買契約・建築工事請負契約(ローン特約)
- 住宅ローン仮審査
- 仮審査内諾
- 本審査
- 保証承諾
- 土地代金支払や建築着工資金に「つなぎ融資」
- 中間金もつなぎ融資
- 竣工後に住宅ローン本融資でつなぎ融資返済
- 所有権移転登記・抵当権設定
住宅ローンの審査で金融機関が見ているポイント
金融機関は、申込者が本当に返済を続けられるかどうかを、さまざまな視点で審査しています。
属性情報、物件情報、他行借入状況、信用情報という4つの視点があり、どれかに大きな問題があれば否決になる可能性が高いでしょう。
住宅ローンに申込む際は、金融機関がどんな点を見ているのかを意識しておくことが大切です。
審査チェックポイントがわかれば、書類提出で注意する点や金融機関との交渉の仕方がわかり、審査通過率もアップします。
属性情報
属性情報は、金融機関の第一印象にあたる要素です。
審査では、年収が多い・少ないというよりも、収入の確実性や安定性が問われます。
勤続年数は長いほど「安定している」と見なしてもらえますが、転職回数が多い人でも、必要書類をしっかり整えれば通る可能性もあります。
不安なことがあれば、早めに金融機関の担当者と相談するのがよいでしょう。
- 収入は安定しているか?
雇用形態は?正社員か?非正規雇用か?
- 勤続年数は?
勤続3年以上を条件にしている金融機関は多い
- 返済比率は基準内か?
他社を含めたローン契約後の年間返済額は、年収の35%を超えないか?
ちなみに、属性情報で審査に落ちるケースとして、下記のような事例があります。
本当のことを隠して申込んでも、後々バレることになるため、申込時には属性情報を正直に伝えましょう。
- 勤続年数不足で基準外だった
- 実際は複数の借入があるのに自己申告せず、後から判明した
- 年収は合格点でも職種が急激に変わっているため返済能力が低いと判断された
物件情報
物件情報も、金融機関が審査する重要なポイントの一つです。
金融機関が物件情報でチェックしている点に注意し、もし該当している場合は事前に金融機関に相談したほうがよいかもしれません。
- 流通性・担保価値
いざとなれば競売や売却で回収できるか?
- 住宅ローンの対象かどうか?
店舗併設や調整区域など、住宅ローン対象外にならないか?
- 建築内容
不法増改築や建築基準違反はないか?
なお、物件が原因で審査に落ちるケースとしては「不動産担保規定」に合わない特殊物件、「狭小すぎて市場で売りにくい物件」、「市街化調整区域で建て替えが制限される物件」などが該当します。
なかには、否決にはならないが減額承認となるケースもあります。
この場合は、金融機関の担当者あてに保証会社から「販売価格が正直言って高すぎます」と連絡が入ります。
物件がローンの条件に合致せず、保証会社の審査に通過できない場合は、申込者に「保証会社の判断です」としか伝えられません。
他行借入状況
審査時には信用情報が照会され、他行の借入状況もチェックされます。
具体的な審査項目は非公開ですが、信用情報で延滞や債務整理などが確認されるほか、下記のような点も見られるでしょう。
- クレジットカードを何枚持っているか?
- 各カードのキャッシング枠は高すぎないか?
- マイカーローンや教育ローンの残高は多額ではないか?
ちなみに、クレジットカードやカードローンは実際に利用していなくても、契約しているだけで「借りているのと同じ」と見なされます。
極論ですが、申込時点でカードローンの利用枠が300万円あり借入額が0円でも、審査通過の翌日に「いきなり300万円を借りる」といったことも可能です。
金融機関は、あらゆるリスクを想定して審査を行うため、少しでも返済不能になるリスクがあれば、審査では否決となるでしょう。
信用情報
信用情報でチェックされるポイントも見ていきます。
- CICやJICCに延滞・債務整理などの事故履歴はないか?
- 同じ保証会社が過去に代位弁済した履歴はないか?
信用情報が照会され、下記のような情報が残っていると、まず審査通過は難しいでしょう。
- 5年以内に自己破産や個人再生などの債務整理をした
- 1年以上の長期延滞歴がある
- 仮審査後にうっかりクレジットで延滞した
信用情報の問題は、個人の努力では対処のしようがなく、ネガティブな情報が残っている場合は、他社借入を完済してから5年間待つしかありません。
事故情報が抹消されたことが確認できたら、再度申込めるチャンスもあるため、まずは信用情報を開示して時期を見極めましょう。
住宅ローンの審査で落とされてしまう原因と理由
審査で見られるポイントをご紹介しましたが、ここからは実際に住宅ローンの審査で落とされる原因を、さらに詳しく見ていきたいと思います。
金融機関のプロの視点から見た「注意すべきポイント」もお伝えしますので、自身が当てはまらないように注意しましょう。
安定した収入がない
収入が安定しないと認定されると、長期返済に不安が残ると判断されるため、審査通過は難しいでしょう。
特に非正規雇用や転職直後、起業間もない個人事業主などは、現在の収入が高くても信頼度が低いと見られてしまいます。
法人の代表者も、会社の業績が赤字続きであれば、役員報酬の将来性を疑われ、審査では否決されるケースがほとんどです。
実際にあった例としては、「外資系企業で高収入を得ていても、一時的なボーナス依存とみなされて審査を通過できなかった」という事例があります。
このような事態を回避するには、「3年程度の継続した収入証明を提出する」、または「配偶者と収入合算する」といった方法がおすすめです。
また、金融機関によっては公務員や大手企業勤務を高評価するところや、一方でフリーランスや短期契約の収入は割引いて判断するところもあるため、事前に相談しながら自分の職種に合った金融機関に申込むと良いでしょう。
返済比率が融資基準を満たしていない
多くの金融機関が、返済比率(年収に占める年間返済額の割合)を30~35%程度に設定しています。
年間返済額には、「マイカーローンやカードローン」「教育ローン」など、他の借入も含まれるため、複数の返済を抱えている場合は、金融機関が定める基準を超えてしまうかもしれません。
例えば、年収400万円なら年間返済額の上限は140万円前後ですが、すでにマイカーのローンで月5万円払っているなら、マイカーローン分で年間60万円が占められる計算です。
そのため、住宅ローン返済に回せる枠は年80万円ほどしかありません。
返済比率をクリアできないと否決されてしまうため、「自己資金を増やして希望借入額を減らす」「返済期間を長めに設定して毎月負担を抑える」といった方法を検討しましょう。
どうしてもオーバーするなら、マイカーローンを一括返済したり不要なカードを整理したりする手段も選択肢の一つです。
購入物件が審査基準に合っていない
担保として価値を認めにくい物件は、審査以前に融資対象外となることがあります。
小規模すぎる住宅、増改築で法令違反の疑いがある物件、市街化調整区域内の土地などが典型的な例です。
「担保価値が少ない」と評価されてしまうと、融資額を大幅に減らされるか、最悪の場合は否決されてしまいます。
中古物件の場合は、構造や築年数のほか耐震基準を満たすかどうかもチェックされるでしょう。
また、店舗・事務所併用住宅で居住部分が少ない場合は事業融資扱いとなり、一般的な住宅ローンを組めないこともあるため注意しましょう。
どうしてもローンを組んだうえで対象住宅に住みたいなら、「店舗や事業部分を別途融資で賄う」、もしくは「他の金融機関で50%以上居住用ならOK」とする要件を探すなど、工夫が必要になります。
他行借入が多く返済比率をオーバー
クレジットカードやカードローンなどを複数契約していると、実際の借入残高が0円でも「合計極度額を使える」とみなされ、審査に落ちるケースがあります。
結果として返済比率の試算でアウトになり、否決されることがあるので厄介です。
利用していないカードでも、キャッシング枠があるなら残っているだけでリスクと見なされます。
マイカーローンや教育ローンなどが重なっている場合も同様で、住宅ローン単体なら大丈夫でも、他ローンを含めたトータル返済額が年収比率を超えるなら否決は避けられません。
クレジットカードやカードローンは、一括返済をしたうえで、解約しておきましょう。
信用情報に事故履歴がある
過去に長期延滞や自己破産などの記録(いわゆるブラックリスト)が信用情報に残っていると、まず保証付き住宅ローンは通りません。
完済から5年などで抹消される可能性があっても、その期間内は申込を続けても否決されるだけです。
抹消時期を確認せずに行動するより、個人信用情報機関で自分の履歴を開示請求するのが先決でしょう。
仮審査の段階で金融機関が信用情報を照会し、事故履歴が出てきたらほぼ自動的に否決です。
本人には「総合的に判断しました」という書類1枚で通知が来るのみで、理由は詳しく教えてもらえないことが通例です。
住宅ローンの審査通過率を上げるためのコツ
否決理由の多くは、「返済比率が高い」「信用情報が悪い」「担保評価が低い」「勤続年数が短い」の4つです。
審査通過率を上げたいなら、金融機関の考え方などを理解したうえで、対策を練っておきましょう。
安定した収入があることを証明する
住宅ローンは長期間の返済にわたるため、「年収が将来にわたっても安定している」と見なされるほど、審査通過率は上がります。
会社員なら源泉徴収票や住民税決定通知書をきちんと提出し、自営業者や法人代表者なら3年分の確定申告書と納税証明書、可能なら事業計画書や顧客リストを用意すると説得力が増すでしょう。
もし、金融機関の「勤続3年以上」などの要件を満たせず、仮審査で断られたとしても、地方銀行やネット銀行などでは別の要件を設けているケースもあります。
諦めずに利用条件をリサーチして、自身の条件に合う住宅ローンを探しましょう。
ちなみに、金融機関が「どうしても審査通過させたい」など、特別な対応を試みる場合は、「意見書」を活用して保証会社を説得し承認にこぎつけることもあります。
個別事情があるなら、正直に相談すると良いでしょう。
借入額をできるだけ少なくする
住宅ローン審査でネックになるのが「返済比率」です。
頭金を増やして借入額を減らせば、返済負担率を大きく下げることができるかもしれません。
手元資金が足りないなら、親からの資金援助(非課税枠の利用)を検討してみるのも手段のひとつです。
借入額が小さくなれば総返済額も減るため、金融機関側もリスクが低いとみなし、審査通過の可能性は上がるでしょう。
なお、返済期間を伸ばすことで毎月返済を小さくし、審査ラインを通す方法もありますが、トータル利息は増える点には注意しましょう。
健康状態に注意する
団信(団体信用生命保険)に加入できないと、一般的な保証付き住宅ローンは利用できません。
健康診断などで要治療の指摘がある場合は、その改善が確認できる診断書を用意するなど前もって対策すると、団信審査が通りやすくなる可能性があります。
持病がある人向けに「ワイド団信」を用意している金融機関もあるため、団信の内容もリサーチして、健康状態に合ったローンを選ぶのも一つです。
参考:イオン銀行のワイド団信付き住宅ローン※健康に不安のある方のための住宅ローン保障
団信の利用が難しい場合は、団信不要の住宅ローン(フラット35など)を検討しましょう。
金利や建築基準など条件はあるものの、健康上のハードルは下げられます。
ただし、返済中に死亡や重度障害が発生してしまうとローンが残る場合があるため、ローンの契約条項によっては生命保険などで備える必要がある点に注意が必要です。
住宅ローンはフラット35の方が審査は柔軟?
一般的には、フラット35には「勤続年数を問わない」「保証人や保証料が不要」など、審査に柔軟なイメージがあります。
しかし、その一方でフラット35には「全期間固定金利で金利は変動金利と比べ高めに設定されがち」というデメリットもあります。
比較的利用しやすいフラット35のメリット・デメリット、そして民間ローンとの比較ポイントを見てみましょう。
フラット35と民間の住宅ローン(銀行ローン)審査基準の違い
フラット35は、雇用形態や勤続年数のハードルが低い一方で、一定の条件をクリアしないと否決されるなど物件のハードルが高いローンです。
また、全期間固定金利で金利上昇リスクを抑えられる一方、変動金利より若干利息負担が増えるケースもあるため、長期返済では慎重な判断が求められるでしょう。
雇用形態や今後の金利見通し、物件特性などを総合的に検討して選ぶのがポイントです。
【フラット35と一般的な金融機関の住宅ローン比較】
フラット35 | 民間の住宅ローン | |
---|---|---|
フラット35 | 民間の住宅ローン | |
審査の主体 | 住宅金融支援機構 +取扱金融機関 | 各金融機関 (保証会社との二重審査) |
金利タイプ | 全期間固定金利 | 変動・固定・固定期間選択型など |
保証料 | 不要 | 必要 or 手数料上乗せ (事実上保証料負担) |
建築基準 技術基準など | 機構が定める技術基準を満たす必要あり (物件検査あり) | なし (担保評価は行う) |
勤続年数 | 原則として不問 | 3年以上を要件とする例が多い |
審査項目 | 収入 返済比率 物件の技術基準 など | 返済比 信用情報 属性情報 担保評価など |
フラット35のメリットデメリット
フラット35のメリット・デメリットについても見ていきましょう。
フラット35は本人属性の面で審査通過のハードルは低いですが、金利面や融資額、物件基準の面では融通が効きづらい住宅ローンといえます。
メリット | ・全期間固定金利で返済負担が変わらない:保証料が不要(手数料のみ) ・勤続年数や年収の下限、雇用形態などに厳しい制約がない ・団信加入が任意(健康状態で苦戦しにくい) ・繰り上げ返済手数料がかからない |
デメリット | ・住宅金融支援機構の技術基準を満たす物件でないと利用不可 ・金利は変動より高くなりがち ・諸費用込みの借入ができず、基本的に物件価格100%まで ・審査期間が長引きやすい・取り扱う金融機関によって手数料が異なる |
【変動予想】変動金利と固定金利の違い・メリット・デメリット|今後住宅ローンの金利はどうなる?
住宅ローンの審査に落ちたらどうすればいい?
もし住宅ローンの審査に落ちても、すぐにあきらめる必要はありません。落ちた原因がどこにあるかを冷静に把握できれば、別の金融機関や商品で再度チャレンジできる可能性があります。
- 信用情報に問題がある場合は一定期間をおいてから申込む
- 銀行・信用金庫にプロパー融資での対応を検討してもらう
- 親からの資金援助を受ける
信用情報に問題がある場合は一定期間をおいてから申込む
信用情報機関に延滞や自己破産などの事故情報が登録されているなら、その情報が消えるまで再申込を控えましょう。
再申込のタイミングを読み違えると、短期間に何度申し込んでも否決が続き、他社ローンやクレジットカードの審査にも影響が出ます。
信用情報が原因だと想定される場合は、信用情報の開示請求をして、いつ頃抹消されるのか(完済から5年後など)把握しましょう。
もし完済していない延滞があれば、完済しないと事故履歴自体が残り続けるため、速やかに返済するのが大切です。
銀行・信用金庫にプロパー融資での対応を検討してもらう
保証会社付きローンが難しい場合でも、銀行や信用金庫の「プロパー融資」を使えないか打診する方法があります。
プロパー融資とは、保証会社などを利用せずに「銀行から直接借りる融資」のことです。
プロパー融資は保証料が不要ですが、一般的に金利が高く、融資額も低めです。
また、実際には行員が乗り気にならないケースがほとんどで、よほどの取引実績や地元への貢献度がある人を除き融資が認められることはないでしょう。
どうしても物件を手放したくないという場合には、最後の選択肢として検討しても良いかもしれません。
親からの資金援助
親からの資金援助を受け、借入額自体を減らせば返済比率を下げられるため、審査通過の可能性も上がるでしょう。
ただし、親からの資金援助は贈与税がかかる場合があります。資金援助を受ける際には「住宅取得等資金の贈与税非課税制度」や「相続時精算課税制度」などをうまく利用しましょう。
贈与契約書を作るなど、適正な手続きを踏めば数百万円の援助でも贈与税がかからないケースがあります。
住宅ローンの審査でよくある質問
初めて住宅ローンを申込む人にとっては、審査期間や審査基準はわかりにくいものです。
住宅ローンの審査でよくある質問についても見ていきましょう。
住宅ローンの審査期間はどれくらいですか?
仮審査が3~5営業日、本審査が1~2週間程度というのが一般的です。
ネット銀行では即日回答を掲げるところもありますが、書類不備や業務の混雑具合によって審査スピードは変わります。
融資実行まで含めると、物件の引き渡しスケジュール調整もあり、2週間以上はかかると考えましょう。
- 書類が完璧に整えば本審査を早めに終えてくれる可能性もある
- 申込者側が急かすと雑な審査になり、かえって不利になることがある
- ノンバンクや一部ネット銀行は最短2~3日で本審査まで仕上げる例もあるが、あくまで少数
審査が甘い銀行住宅ローンや信用金庫の住宅ローンはありますか?
極端に審査が甘いローンはありません。
ただ、審査通過要件や方針は銀行ごとに違うため、人によっては「A銀行よりB信用金庫のほうが通りやすかった」と感じることはあります。
例として、A銀行の条件は「年収400万円以上3年勤続で厳しめ」、B信用金庫は「年収300万円以上で緩め」など、金融機関によって審査基準の違いがあるのです。
しかし、最終的な審査基準(返済比率や信用情報の重視)はどこも同じです。
「雇用形態の条件が緩い」「勤続年数要件がない」など条件の違いを把握し、自分に合った住宅ローンを探しましょう。
住宅ローン審査で資産状況は影響しますか?
直接は影響しないでしょう。銀行は「月々の安定収入を原資に返済ができるか?」を最重視しています。
そのため、仮に5,000万円の金融資産があっても無職なら、審査に通ることは難しいでしょう。
ただ、プロパー融資や特別な事情が認められる場合に限っては、預貯金の多さを好意的に見る例もあります。
保証会社の審査においては、資産よりも勤務先や年収履歴のほうが重視されるため、資産の大小は関係ないでしょう。
審査が甘い住宅ローンはありますか?
存在しません。一般的な住宅ローンは「返済能力+担保力+信用情報」で総合評価します。一部の審査項目が柔軟に判断されるケースがあっても、「全体的に審査が甘い商品はない」とみるべきでしょう。
金利が低い商品ほど審査が厳しい傾向があるため、多少金利の高い商品であれば勤続年数などの属性面で柔軟な審査をしてくれる場合もあります。
希望条件(勤続年数や年収)の条件が合う金融機関を探すほうが、結果的に通りやすいといえます。
住宅ローンの審査に通りやすい職業はありますか?
収入が安定していると見なされる職業ほど有利です。
代表的な例としては大企業の正社員や公務員は評価されやすいですし、医師や看護師など専門資格職も安定度が高いと判断されます。
ただ、自営業でも3期以上の確定申告を済ませており、決算書などで「利益がしっかり残っている」と判断されると、問題なく審査通過できるケースも多いでしょう。
職業よりも、安定収入を立証できる公的資料が重要です。
近年は転職が一般化していることもあり、短期勤続でも一貫して同業界・同職種で働いて収入アップを実現しているなら、肯定的に評価される可能性が高いです。
一方、「全く畑違いの業種に転職したばかり」「頻繁に職場を変えている」といった場合はリスクとみなされる場合があります。
住宅ローンの審査に通る基準年収は?
厳密に「◯◯万円以上」という共通ルールはありませんが、年収400万円を一つの目安とする金融機関がほとんどです。
最低400万円を基準に、そこから返済比率を考慮し、融資可否が判断されるでしょう。
なお、収入によって返済比率の許容範囲は変わり、「年収400万円以上なら35%、400万円未満なら30%」といったルール決めをする金融機関もあります。
ただし、年収が300万円台でも頭金を多めに入れると審査通過できる場合はありますし、年収500万円でも、他社ローンの返済が大きいと否決されるかもしれません。
最終的には、借入額と総返済額を考慮し、返済比率をどれくらい抑えられるかが基準になると考えましょう。
住宅ローンの審査まとめ
住宅ローンの審査では、本人属性はもちろん、信用情報や物件内容など、さまざまな点がチェックされます。
住宅ローンでの融資額は高額となるため、審査が甘い住宅ローンはありません。
もし審査で不安な点があるなら、金融機関の担当者へ正直に状況を伝え、相談に乗ってもらいましょう。
住宅ローンは長期返済になるため、無理のない資金計画を立てるのが重要です。審査に通るか否かだけでなく、将来の生活設計を見据えて慎重に検討しましょう。
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