住宅ローンは返済期間が長く、返済途中で金利が変わることがあります。
金利の上昇などが原因で、毎月の返済が負担になっているなら、住宅ローンの借り換えを検討しましょう。
ただし、借り換えによるメリットが出るかどうかは、金利差や諸費用、残りの返済期間などに左右される点に注意が必要です。
今回は、住宅ローンの適切な借り換えタイミングや手続きの方法、借り換えシミュレーションを見る時に注意すべきポイントなどを解説します。
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住宅ローンの借り換えを検討すべきタイミング
新規契約時には魅力的だった金利や返済計画も、数年後には状況が変わってしまうことがあります。
金利の上昇やライフプランの変化が原因で、毎月の返済が苦しいなら、低金利の住宅ローンなどへの借り換えを検討したほうがよいかもしれません。
はじめに、住宅ローンを借り換えたほうが良いタイミングについて、詳しく見ていきましょう。
金利が上昇した場合
金利が上昇傾向にあるときは、早めに借り換えを検討しましょう。
特に、固定期間選択型(3年・5年・10年など)の住宅ローンを契約している場合は、固定期間が終わった後に変動金利の住宅ローンへ借り換えるのがおすすめです。
銀行の窓口ポスターや広告などで、魅力的な低金利の新商品を見かけることも多いでしょう。
現在返済中の住宅ローンと、広告で出されている住宅ローン金利を比較し、0.5〜1.0%以上の差があるなら借り換えを検討しましょう。
ただし、住宅ローンの借り換えでは、金利差だけではなく、借り換え時に発生する諸費用(事務手数料や登記費用など)も考慮し、総返済額で判断するのが大切です。
毎月の返済額を見直したいとき
「毎月の返済を減らしたい」という場合も、借り換えを検討すべきタイミングです。
- 子どもの教育費がかかり、毎月の返済額を減らして教育費に充てたい
- 転職して収入が減ったので返済を見直したい
- ボーナス返済をやめて毎月均等払いにしたい
ただし、借り換え先ローンの契約内容によっては、月々の返済額は軽減できても、そのぶん返済期間が長くなり、利息総額が増えるリスクがあります。
それでも「今の家計を維持するために返済を減らしたい」と思うなら、借り換えを検討してもいいでしょう。
金融機関は、「返済に困っている利用者は、借り換えニーズが大きい」と見ており、対象となり得る顧客にキャンペーンを適用して借り換えを促進することも少なくありません。
住宅ローンの区分を切り替えたいとき
変動金利から固定金利へ、あるいは固定から変動へと、金利区分の変更を目的に借り換えるケースもあります。
「金利上昇リスクが現実化しそうだ」と感じたら、変動から固定へ変更する人もいれば、「思ったほど金利が上がらなかったので固定から変動に乗り換えたい」と考える人もいるわけです。
金融機関によっては、ローンの途中で金利タイプを変更できる商品もありますが、変更手数料が高かったり、そもそも途中変更を認めていなかったりするため、諸条件の確認は必要です。
また、過去に住宅金融公庫(現在のフラット35)の住宅ローンを利用していた人は、金利が割高になってきたタイミングで、民間の低金利ローンに借り換える場合も珍しくありません。
ただし、公庫利用者の中には、甘めの融資要件が決め手で借りている層もおり、民間の金融機関に借り換えようとしても審査に落ちる場合があります。
住宅ローンの借り換えによるメリット
住宅ローンを借り換えるメリットは、主に下記3つです。
- 金利手数料を節約できる
- 毎月の返済額が減る
- 返済期間を短縮できる
ただし、手続きに伴う諸費用や、新たなローンの条件を総合的に判断して、本当にメリットがあるかを見極めることも重要です。
金利手数料を節約できる
借り換えの最大のメリットは、「金利手数料を節約できる」という点に尽きるでしょう。
例えば、固定期間選択型ローンの固定期間が終了した際、同じ銀行の変動金利ローンに移行すると、金利手数料が上昇してしまうケースがあります。
このタイミングで、他行の低金利ローンに借り換えることができれば、利息を節約できるでしょう。
金融機関は、他行からの顧客を取り込むために、借り換え専用の優遇金利を設定している場合もあります。
このような機会を利用すれば、さらに金利負担を軽減できます。
ただし、金利差が1%未満の場合には、手数料を考えると逆に損をする可能性があります。
事前に金利差や残りの返済期間を考慮し、利息の削減額を試算したうえで、実際にメリットがあるかを慎重に判断しましょう。
毎月の返済額が減る
住宅ローンの借り換えにより、毎月の返済額を減らすことも可能です。
金利が低くなれば、毎月の利息相当分が減るため、元本+利息の合計額は減ります。
また、ボーナス返済をなくして毎月の返済額を均等にすることで、急なボーナス減少時にも対応しやすくなるでしょう。
返済期間を延長すれば、月々の返済を減額できるかもしれません。
ただし、期間延長によって総返済額が増えるリスクもあるため、抑えるべき返済額と総返済額のバランスを見ながら判断する必要があります。
返済期間を短縮できる
借り換えにより返済期間を短縮できるというメリットもあります。
返済を早く終わらせることで、将来的な家計の自由度も向上するでしょう。例えば、子どもの教育費用や老後資金のため、早いうちから資産運用を始められるかもしれません。
また、心理的にも「借金がない状態」を早く実現することで、精神的な安定も得られます。
ただし、返済期間短縮に伴い毎月の返済額が増えるケースもあるため、家計に無理がないか慎重にシミュレーションすることが重要です。
住宅ローンの借り換えで発生する費用
住宅ローンの借り換えでは、さまざまな諸費用が必要となります。
金利差がわずかでも、これらの費用を考慮するとトータルでは損をする場合もあります。
どのような費用が発生し、合計いくらくらいになるのかを事前に把握しておきましょう。
1.事務手数料
借り換え先で新規ローンを組む場合は、事務手数料が発生します。
保証会社が関わる住宅ローンなら、保証会社への事務手数料という形で請求される場合が多いでしょう。
保証会社を使わないローンであれば、銀行が独自に「融資手数料」として徴収することがあります。
借入金額に対して一定の料率(例えば2.2%など)で計算されるのが一般的です。
事務手数料は金融機関によって違いますが、当初のローン契約時と同じく、数十万円単位が必要になることも珍しくありません。
借り換えによる金利差のメリットがないと、この手数料負担だけでメリットを食い潰してしまう恐れがあります。
2.保証料
保証料とは、「返済不能になった場合、保証会社が銀行へ代わりに返済する」ということを前提に支払う費用のことです。
外枠方式(全額前払い)と、内枠方式(金利に上乗せ)という二つの払い方がありますが、いずれにしても利用者の負担であることには変わりありません。
既存ローンで保証料を外枠方式で払っている場合、残期間に応じて一部が返金される可能性がありますが、過度に期待できる額ではないケースが多いでしょう。
借り換えで新たに保証料を払う場合は、事務手数料+保証料を考えて、「総返済額がどれだけ下がるか?」をシミュレーションしておく必要があります。
金利差が0.3%程度しかないのに、保証料で数十万円かかるなら、結局は損になるかもしれません。
保証料は各銀行が独自に算出しており、残高や期間・商品特性などで変わるため、比較する際には同じ借入条件で見積もりをとってみると分かりやすいでしょう。
3.登記費用
借り換えをすると、既存ローンの抵当権抹消と新規ローンの抵当権設定が必要です。
それぞれに登録免許税がかかり、加えて司法書士への報酬も発生します。
登録免許税は、抵当権設定の場合「債権額の1,000分の4」が課税される形が多く、借入金額が大きいほど費用がかさんでいきます。
司法書士への報酬額は一律ではなく、3万〜10万円程度のレンジで請求されるのが通例です。
安く抑えたいからといって他の司法書士を自由に選べるわけではなく、新たに借りる金融機関が指定の司法書士を使うのが一般的なので、費用を大幅に削減するのは難しいと考えておきましょう。
4.繰り上げ返済手数料
借り換えの際、既存ローンを一括返済するための手数料がかかる場合があります。
金額は数千円から数万円程度で、インターネットバンキングなら無料にしている例や、「全額繰上返済なら無料だが、一部繰上返済は有料」など金融機関ごとに細かな規定があります。
古い契約だと大きな手数料が必要なケースもあるので、借り換えを決める前に必ず確認しましょう。
返済手数料を抑えようと、一旦一部を繰上返済してから残高を減らし、そのあとで借り換える方法を考える人もいますが、一部繰上返済にも手数料がかかる場合、逆に負担は増えるかもしれません。
結局、どのように返済しても「ある程度の費用は発生する」と割り切って計算するのが無難です。
5.収入印紙
新しいローン契約(=金銭消費貸借契約書)を交わす際には、契約金額に応じた印紙税がかかります。
借入金額が500万円を超えると一律ではなくなるため、場合によっては1〜2万円程度の印紙代が必要です。
多くの銀行では融資実行時に諸費用とともに差し引く形をとっており、利用者が自分で郵便局などで購入するケースは少ないですが、事前にいくらかかるかチェックしておきましょう。
数万円程度とはいえ、借り換え時に出費が増えるとなると、印紙税が上乗せになることに驚く人もいます。
借り換えで節約できる利息額と比べて、「印紙代まで考慮して本当にプラスになるか?」を念のため試算すると安心でしょう。
稀に、金融機関のキャンペーンで印紙代を負担してくれる場合があるため、お得な情報も見逃さないようにチェックしておくことも大切です。
借換時の費用を抑える方法
借り換え時の費用は、法律や銀行の規定で決まっているものが多く、利用者が大きく削減するのは容易ではありません。
例えば、登記に関わる登録免許税や保証料などは、減らしようがない費用です。
それでも、司法書士報酬については交渉の余地があったり、銀行ごとのキャンペーンで一部負担が軽減される場合があるなど、わずかながら工夫ができる例もあります。
例えば「おすすめ銀行での借り換えキャンペーン」に応募し、事務手数料の一部割引を受けるといった方法です。
また、火災保険や団信を見直し、余計な特約を削ることで毎年の保険料負担を下げる方法もあります。
借換ローンの相談に行った際に、別の保険商品を紹介されることも多く、比較検討のチャンスになるでしょう。
さらに、保証会社を使わずに取扱手数料だけ払う形にするか、あるいは保証料をまとめて支払うかといった選択肢も含めて、総支払い額がどのくらい変化するかシミュレーションすると安心です。
住宅ローンを借り換える際の流れ
住宅ローンの借り換えを決めたら、実際の手続きについても把握しておきましょう。
借り換えの基本的な流れは、「シミュレーション→申込→審査→契約→既存ローン完済」となります。
既存ローンの抵当権を抹消し、新規ローンの抵当権を設定する手間が発生するため、余裕をもったスケジュールを見込んでおきましょう。
【完全保存版】住宅ローンの申込、契約、返済、借り換えの流れまとめ
借り換えシミュレーションで比較する
まずは、銀行の公式サイトや比較サイトで借り換えシミュレーションを行い、本当にメリットがあるかどうか確かめましょう。
現在のローン残高や残期間、適用金利、毎月返済額などを入力し、借り換え先の金利・期間を仮定してみると、総返済額でどのくらい差が出るかがわかります。
諸費用を考慮してもプラスになるなら、本格的に検討してみると良いでしょう。
単純に「金利差があるから得をする」というだけではなく、毎月返済額が下がるかどうかや、期間短縮で利息を圧縮できるかなど、多角的にシミュレーションすることが大切です。
申込
次に、金融機関のWebサイトや窓口で、住宅ローンの借り換えを申込みます。
- 仮審査に必要な書類をそろえる(物件情報・既存ローン情報・勤務先情報など)
- ネットバンクの場合:Webフォームに入力し、必要書類はアップロードや郵送で送る
- 店頭申し込みの場合:書類を持参し、担当者に直接相談する
- 仮審査結果が出て、問題なければ本審査に進む
なお、一般的には仮審査時点で大まかな信用情報や返済状況が審査され、本審査に進むかが決まります。
過去に他社ローンで延滞していたり、属性の変化(転職したばかりなど)があったりすると、審査に進めない場合もあるため注意が必要です。
仮審査~本審査
仮審査ではざっくりした要件に合うかどうかが審査され、本審査で信用情報や収入証明、担保評価などがチェックされます。
- 他社ローンやクレジットカードで頻繁に延滞している
- 残高と収入のバランスが悪い
- 健康状態が団信に加入できないレベルである
懸念事項があれば、銀行の担当者に事前に相談しておくのがおすすめです。
本審査に進むと、書類の不備があり追加提出を求められたり、共有名義の家が絡んで手続きに時間を要する場合があります。
金融機関によっては、3日程度で審査が完了する場合もあれば、何らかの事情で2週間ほどかかることもあるため、焦らず連絡を待ちましょう。
否決になると「総合的に判断しました」とだけしか伝えられないケースが多く、具体的な理由は基本的に教えてはもらえません。
【元融資担当者が解説】住宅ローンの審査はどこを見られる?通過率をアップさせるためのポイント
契約
審査に通過したら、借り換え先の金融機関で契約を済ませます。
- 本審査通過後、金銭消費貸借契約を締結
- 融資実行日と返済方法を確定
- 担保設定のための書類(登記識別情報や印鑑証明書など)を司法書士が確認
- 実行当日に新しい抵当権を設定し、旧ローンを完済する
融資実行と同時に担保設定を行い、その日のうちに既存ローンの返済を済ませるのが通例です。
このとき、旧ローンの金融機関への返済手続きがスムーズでないと、実行が翌日以降にずれ込む可能性があります。
契約するまでに、借り換え元ローンの金融機関に完済の申し出を済ませておき、旧ローンの手続き方法を把握しておくことが大切です。
借り換え元ローンの返済など残債処理
最後に、借り換え元ローンの残債処理が必要になってきます。
銀行によっては、事前連絡なしでは一括返済を当日受付してくれないケースがあり、「そんな話は聞いていない」とトラブルになることもあるので注意しましょう。
- 融資実行日のうちに、借り換え先銀行の資金を使って既存ローンを一括返済
- 返済後、旧ローンの抵当権抹消手続きに必要な書類を受領
- 司法書士が抹消登記を申請
既存ローンを完済した時点で、実質的に旧ローンの担保は不要になりますが、法的には抵当権が残ったままなので、改めて抹消の登記申請が必要です。
新たに設定した抵当権は、借り換え先銀行の保証として登録されるため、物件には旧ローンの抹消と新ローンの設定が同時に存在する形になります。
一見面倒ですが、ローン実行後10日ほどで双方の手続きが完了するケースがほとんどです。
住宅ローンの借り換えをするときの注意点
借り換えで利息負担の軽減や返済計画の修正が図れる一方、諸費用や将来的な住宅ローン控除など、見落としがちな点もあります。
借り換えシミュレーションで「メリットがあるかも?」と思えても、実際に手続きを進めて、はじめて不利になることがわかる場合もあるため、事前に確認しておきましょう。
利息の差と新たに発生する手数料を考える
借り換えると、金利差により利息が減るのが一般的ですが、事務手数料・保証料・登記費用・繰上返済手数料の諸費用がかかる点には注意しましょう。
これらを総合して考えないと、金利差が少ない場合は、トータルで損をするかもしれません。
特に残高が少ない・残期間が短い人は、節約できる利息額が小さいため、諸費用のほうが上回る可能性があります。
借り換え直後に繰上返済を予定している場合などは、上記とは別でさらに繰上返済手数料が再度かかる場合もあるため、銀行やFPなど専門家に相談しておくのがおすすめです。
住宅ローン控除継続に関する注意点
住宅ローンを借り換えても、一定の条件を満たせば住宅ローン控除を継続して受けられます。
しかし、控除期間の残年数によっては、控除が受けられない場合があるため注意しましょう。
特に注意が必要なのは、借り換え後の返済期間が10年未満になるケースです。この場合、住宅ローン控除の要件を満たせなくなり、控除を受けられなくなるリスクがあります。
また、借り換え後は新たなローンの年末残高証明書を取得し、初年度は必ず確定申告を行って控除継続の手続きをする必要があります。
会社員の場合、2年目以降は勤務先での年末調整で控除を受けられますが、初年度の確定申告を忘れると控除が受けられなくなるため注意しましょう。
借り換え後の年末調整に関する注意点
サラリーマンは、2年目以降年末調整で処理するのが通常ですが、借り換えの初年度は改めて確定申告が必要になります。
借り換えた事実を税務署や会社に申告しないと、控除が途切れる恐れがあるからです。
借り換えした年の翌年に確定申告で手続きし、そのあとは自動的に年末調整で処理されるパターンがほとんどです。(社内の手続きは必要です)
ただ、勤務先の総務担当者によっては、2年目以降の手続きの方法を教えてくれない場合があります。
住宅ローンの借り換えをした後は、自分で新しいローンの残高証明書を取得し、年末調整で忘れずに申請するよう気をつけましょう。
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住宅ローンの借り換えシミュレーション
実際に、金利差や各種手数料を考慮すると、借り換えでどれくらい差がでるのか、シミュレーションしてみましょう。
今回は、金利差0.5%で借り換える場合を例に、総コストを試算してみます。
金利1.475%から0.975%のローンに借り換えた場合のシミュレーション例
下記は、金利1.475%から0.975%のローンに借り換えた場合のシミュレーション例です。
金利差が0.5%あっても、残高が1,000万円・残り返済期間が10年という条件では、諸費用が上回ってしまい、トータルで約12万円ほどプラスになる計算です。
毎月返済額はわずかに減りますが、総支払い額ではメリットはないでしょう。
【残高1,000万円・残期間10年で0.5%低い金利のローンへ借り換えた場合】
借り換え前 | 借り換え後 | 差異 | |
---|---|---|---|
金利 | 1.475% | 0.975% | -0.5% |
総返済額 | 10,761,720円 | 10,499,400円 | 約262,320円減 |
諸費用 (事務手数料等) | ー | 390,000円 | +390,000円 |
実質的な増減額 (総返済) | +127,680円増 (結果的に損) |
同じ0.5%の金利差でも、残高や期間が大きいと利息削減効果は増えます。
下記は残高が2,000万円で、残り返済期間が20年のシミュレーション結果です。この場合は、諸費用を差し引いても40万円以上節約できることがわかります。
月々の返済額も4,500円ほど軽くなり、年間5万円以上の負担が減る形なので、十分に借り換える価値はあるでしょう。
【残高2,000万円・残期間20年で0.5%低い金利のローンへ借り換えた場合】
借り換え前 | 借り換え後 | 差異 | |
---|---|---|---|
金利 | 1.475% | 0.975% | -0.5% |
総返済額 | 23,106,960円 | 22,021,200円 | 約1,085,760円減 |
諸費用 (事務手数料等) | ー | 660,000円 | +660,000円 |
実質的な増減額 (総返済) | 約425,760円減 (結果的に得) |
借り換えでは、金利差だけでなく「残高+残期間+諸費用」という3つの要素を考えないと、損得判断を誤る可能性があります。
特に、残返済期間が短い場合は、毎月の返済額が下がっても利息軽減額は少なく、諸費用とのバランス次第で「トータルで損をする」というケースがあるため注意しましょう。
参考にしたシミュレーション:三井住友銀行公式サイト|借り換えシミュレーション(ローン残高から借り換えメリットを調べる)
固定金利から変動金利への借り換えシミュレーションで注意すべき点
固定金利から変動金利への借り換えを想定したシミュレーションでは、下記2つの点に注意しましょう。
- 変動金利に乗り換え後、想定外に金利が上がれば月々の支払いが増えるリスクあり
- 借り換え時の諸費用を加味し、本当に得になるかを確認する
変動金利のほうが低利だとしても、借り換え諸費用と上昇リスクを合わせて考えたとき、数年後に金利が上がってしまえばトータルで損に転じる可能性があります。
たしかに、固定金利の負担は「もったいない」と感じるかもしれません。
しかし、変動金利ローンに借り換える場合、金利が上昇した際に慌てて再び借り換えるリスクや、審査に落ちるリスクが発生する点は念頭に入れておきましょう。
変動金利から固定金利への借り換えシミュレーションで注意すべき点
逆に、変動金利から固定金利への借り換えシミュレーションで注意すべき点は下記2点です。
- 固定金利は変動より高くなる傾向があり、乗り換えても金利が下がらないケースがある
- すでに金利が上昇した後だと、固定金利も高くなっているため恩恵は限定的
「変動金利が上がったら固定金利に戻ればいい」と安易に考えてしまうと、余計な手数料と高金利を払う結果になることもあるでしょう。
固定金利商品がすでに上昇していたら、変動金利との差が大きくなり、当面は逆に負担が増える可能性があります。
【金利予想】住宅ローンの変動金利は今後どうなる?変動金利と固定金利どちらが良い?
他社借入とまとめたい場合は不動産担保ローンもおすすめ
住宅ローンを借り換えるだけでなく、カードローンや他の借り入れなどを一本化したいなら、不動産を担保ローンを利用してまとめる方法があります。
金利が安くなれば返済負担が軽減できるメリットがある一方、住宅ローン並みの低金利にはならない可能性もあるなど、いくつか注意点を理解しておくことが大切です。
不動産担保ローンの仕組み
不動産担保ローンは、所有不動産を担保に差し入れ、評価額の50〜80%程度を融資する商品です。
住宅ローンと違い、用途が住宅取得に限られるわけではなく、事業資金や教育資金など幅広く使えるケースが一般的です。
金利は無担保ローンよりは低い反面、住宅ローンほど優遇されるわけではなく、返済期間も10~30年程度と幅があるのが一般的です。
後順位(二番抵当以降のこと)で担保を設定できる商品もあり、すでに住宅ローンが第1順位で抵当権を取っていても、第2順位以降を使って借りられる可能性があります。
ただし、評価額が低い不動産だと希望金額に届かないこともあるほか、不動産に差し押さえの履歴や瑕疵があるとノンバンクでも審査通過は厳しいでしょう。
他社借入を不動産担保ローンで借り換えるメリット
他社借入を不動産担保ローンで借り換えるのには、主に下記3つのメリットがあります。
- 無担保ローンより金利が抑えられ、総返済額が減る場合がある
- 複数の借入を一本化し管理しやすくなる
- 必要に応じて追加資金を同時に融資してもらえるケースもある
カードローンやリボ払いなど高金利の借金があるなら、不動産担保ローンを上手に活用して一本化すれば、早期に完済できるでしょう。
他社借入をまとめて不動産担保ローンで借り換える場合の注意点
複数の借入をまとめる際に不動産担保ローンを利用する際は、住宅ローンの金利より上がってしまう場合がある点に注意しなければいけません。
住宅ローンも同じ不動産を担保にしている商品ですが、優遇金利が適用されるケースがほとんどです。
したがって、カードローン+住宅ローンなどといったように、他のローンと住宅ローンを一本化してしまうと、住宅ローン部分まで高い金利に移してしまう恐れがあります。
結果的に「カードローン部分は楽になったが、住宅ローン部分が不利になり、全体で見るとメリットが薄い」という事態になるかもしれません。
また、一本化で長期返済を設定すると総返済額は増えがちです。
月々の返済額は減っても、最終的な総返済額がどうなるかは、細かくシミュレーションしておきましょう。
住宅ローンの借り換えまとめ
住宅ローンの借り換えにあたっては、事務手数料や保証料、抵当権抹消・設定の登録免許税、司法書士報酬など多様な費用が発生します。
これらを正しく把握しないまま「金利が少し安くなるから大丈夫」と考えるのは危険です。
場合によっては、数十万円単位のコストがかかるため、しっかり試算してプラスになるかを見極めましょう。
自力で判断が難しい場合は、金融機関やファイナンシャルプランナーに相談しつつ、複数パターンのシミュレーションを行うのが安全です。
借り換えによる家計負担の軽減は大きなメリットになり得ますが、判断材料が多岐にわたるため、十分に情報収集を行ったうえで最適なタイミングとプランを選択しましょう。
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