通常時、コロナ中、コロナ後のマーケットを振り返る

世界中で感染が拡大している中、株価は大きな下落の後、想定以上のスピードで
上昇してきました。
コロナショック時は、パニック状態になったマーケットも、その後は、全面高で推移。
一見、何が起きているのかわかりにくいですが、
コロナショック時にマーケットで何が起きたのか、コロナショック後、何が起きているのかを理解することで、腰を据えて、資産運用に取り組むことができます。
今回は、通常時、コロナ中、コロナ後のマーケットを解説します。
通常は、株価と債券は反対に値動き

通常の局面では、株価と債券は反対に値動きすることが一般的です。
景気拡張局面では、株価は上昇し、債券は下落する傾向が強く、
景気後退局面では、株価は下落し、債券は上昇する傾向が強くなります。
たとえば、中長期の老後資金準備を目的として、
株式と債券に分散投資するバランスファンドを保有していると、
景気がよいときは、株価の上昇による利益が期待でき、
景気が悪いときは、株価の下落による損失を債券の上昇で下支えし、損失を小さく抑えることが期待できます。
パンデミック宣言後は、株安、債券安、金安「手元キャッシュの確保を最優先」

今回のコロナショックが中国やイタリア等の局地的に感染が拡大している局面までは、
通常の不景気局面と似たような動きでしたが、WHOがパンデミック宣言をした後は、
信用不安が高まり、企業の破綻、債券のデフォルト(債務不履行)リスクが懸念され、
株価だけでなく、債券も下落しました。
このような先行き不透明感が強い局面では、株価も債券も下がる局面では、
安全資産である金が高くなることが多いのですが、
今回のパンデミック宣言後、3月19日頃までは、金も大きく下落しました。
この時期、アメリカFRB、ECB、日本銀行等の中央銀行は、
ゼロ金利政策、量的緩和政策による大量の資金供給政策を打ち出し、
信用不安解消に躍起になりましたが、
3月中旬に欧州で全土的なロックダウン(都市封鎖)が始まるまでは、
想定以上の経済打撃拡大が懸念され、3月中旬は一方的な下落相場になりました。
3月下旬以降、信用不安後退と量的緩和により、株高、債券高、金も上昇

ロックダウン(都市封鎖)により、感染拡大の歯止めが行われた頃から、
株価、金の下落にも歯止めがかかり、
株価は上昇に転じ、信用不安が後退し、債券の価格も上昇しました。
また、株価が上昇に転じる局面では、通常、金の価格は安定しますが、
先行き不安を背景に金の価格は上昇し続けており、
金の価格の上昇を追いかけるように、プラチナや銀の価格も上昇しています。
工業需要が大きく戻らない中、工業用途としての側面が強いプラチナや銀の価格の上昇は、量的緩和政策による金余りを象徴しています。
通常、株価は景気の先行指標であり、
景気の本格的な回復が見えない中での株価の上昇は、
中央銀行による量的緩和政策による世界的な金余りに加え、
コロナウイルスの感染拡大が終息し、経済が回復する期待が牽引していると考えられます。
しかし、今後はwithコロナを前提として、
業績を伸ばすことができる会社とそうでない会社で大きな差が出てくるでしょう。
給与・年金が増えず、ゼロ金利が続く中、資産運用の位置づけは更に重要に

コロナショックにより、給与・賞与の減少は年金生活者にも大きな打撃を与えます。
2021年度以降、賃金が下落すれば、物価が上昇しても、年金は減額される制度に変わります。
給与、年金が増えにくく、減りやすくなり、
ゼロ金利政策により預貯金による資産形成が期待できない中、
株式や投資信託等による資産形成は生活を支える重要なインフラになりつつあります。
ワクチン、治療薬が開発、供給されると、
経済は回復に向かう道筋が見えてきます。
言い換えれば、通常の状態に戻るまでは、ゼロ金利政策と量的緩和政策が維持されるため、全体的には資産形成のチャンスともいえます。
節約等の家計の見直しをしつつ、日々の生活費をしっかり確保した上で、
中長期的な視点で、世界の景気回復、人口増加を味方につけた資産形成に取り組んでは
いかがでしょうか?