Column

コラム
2021年9月13日 金融資産運用
外貨投資を始めるなら、外貨預金? 外貨MMF? FX?

2020年の春、新型コロナウイルスの感染拡大により、世界各国が金融緩和政策を実施し、軒並みゼロ金利となりましたが、その後、金融緩和を縮小する国や、具体的に利上げに取り組み始めようとする国も出てきました。

日本は諸外国に取り残され、2021年8月中旬には年初来安値を更新し、株価は政局の影響もあり、戻ってきましたが、消費者物価指数は前年同月比でマイナス、金利は変わらずゼロ金利付近で推移しており、本格的な上昇気配はなかなか見えません。

今後の感染状況や政治、財政政策等によって、大きく異なる展開も想定されますので、

決めつけることはできませんが、日本株式や日本円より、外国株式や外国通貨のほうがリスクはあるものの、将来性を期待でき、保有したいと考える人は多いのではないでしょうか?

今回は、外貨建て金融商品として比較的、始めやすく、換金しやすい、外貨預金、外貨MMF、FXの特徴とメリット、リスク、注意点について解説します。

外国通貨への投資は、購入時・円高、売却時・円安であれば利益、反対ならば損失発生

外国通貨と日本円の交換レートを「為替(かわせ)レート」といいます。

このレートは、各国の経済状況、物価、金利、政治・社会状況等によって日々変動します。

外国通貨への投資によって利益を出すには「円高(外貨安)」で買って、「円安(外貨高)」で売ることが必要となります。

いくらを以上(以下)が円高、円安という絶対的な基準はありませんが、

現在と比べて、「より大きく金利が上昇する」「経済(GDP)が伸びている」

「社会・政治の安定が高まる」ほうの通貨が高くなる傾向があります。

筆者の使い方は、為替レートがある基準を超えた(円高)になったら、少し外国通貨を購入するというのを実践しています(具体的な為替レートの数値は先入観を与えてしまいますので、控えます)。

外貨預金 手軽に始められるが、為替手数料は高め

銀行、信用金庫で取り扱っています。

米ドル、ユーロ、英ポンド、豪ドル、NZドル、カナダドル、スイスフラン等、

先進国の通貨を中心に扱っています。期待される利益は為替差益と金利収入です。

円建てと同様に、普通預金や定期預金があり、普通預金はいつでも引き出せますが、金利は低く、定期預金は普通預金に比べて、金利は相対的に高めに設定されています(現在、その差は大きくありません)。定期預金は中途解約できませんので、個人的にはいつでも解約できるよう普通預金で保有しています。

外国通貨に換えるとき、外国通貨を円に戻すときの為替手数料は、外貨MMFやFXに比べて高めに設定されていることが多く、金利に換算すると数%の手数料がかかる金融機関、通貨もあります。

投資目的で利用するほか、手数料を支払と、外貨で引き出すこともでき、海外旅行で使う現金(小遣い)として利用することもできます。

なお、為替差益は、予め為替予約がない場合は、雑所得として総合課税となり、原則、確定申告が必要です。

外貨建てMMF 外国株、外貨建て債券投資の受け皿としても利用

証券で取り扱っています。MMFとは、主に債券に投資する(株式には一切投資できない)投資信託です。株式に投資する投資信託に比べて安全性は高いですが、投資信託ですので、外貨建てでも元本保証はありません。

外貨預金と同様、先進国の通貨を中心に扱っています。期待される利益は為替差益と分配金収入です。

一般的に、外貨預金と比べて為替手数料が安いことが多いため、筆者は、運用目的としては、外貨預金よりも外貨MMF(海外旅行用は外貨預金)を利用しています。

外貨MMFの残高を利用して、外貨建て債券や外国株式を購入することもできますし、外貨建て債券や外国株式の売却代金の受け皿としても利用できます(日本円に戻さなければ為替手数料はかかりません)。

外貨MMFの分配金は利子所得、売却益は譲渡所得として申告分離課税の対象となりますが、特定口座(源泉徴収口座)を利用していれば、確定申告の必要はありません。

FX(外国為替証拠金取引) 
為替手数料は圧倒的に安く、元手の最大25倍の金額を取引できるが・・・

FX専門業者や証券会社等で取り扱っています。

外貨預金や外貨MMFで扱っている先進国の通貨に加えて、トルコリラ、ブラジルレアル、南アフリカランド等、新興国通貨を取り扱われている点が大きな特徴です。

期待される利益は為替差益とスワップポイント(金利差収入、相対的に金利が高い通貨を買い持ちすると得られる利益)です。

また、外貨預金や外貨MMFと比べて、為替手数料も圧倒的に安く設定されています。

個人投資家は、差し入れた証拠金の金額の1倍から最大25倍まで取引できます。

つまり、少ない資金で大きな金額を取引できますので、狙い通りに行けば、大きな利益(為替差益、スワップポイント)を得ることができます。

一般的に、「リスクが高い商品」として紹介されますが、証拠金の金額の「1倍」の取引であれば、外貨預金や外貨MMFと同様のリターン・リスクですし、為替手数料も安いため、

決してリスクが高い商品と言い切ることはできません。

しかし、大きな利益を得たいと考え、証拠金の5倍、10倍、20倍、25倍の金額を取引して、狙い通りに行けば、売却益やスワップポイントも5倍、10倍、20倍、25倍となりますが、狙いが外れると、損失も5倍、10倍、20倍、25倍となります。

つまり、自分でリスクコントロールができるか否かによって、大きく商品性が変わります。

利益は、先物取引に係る雑所得として、申告分離課税の対象として確定申告が必要です。

外貨預金外貨MMFFX
取扱機関銀行、信用金庫証券会社証券会社、FX業者
通貨主に先進国通貨主に先進国通貨先進国通貨二加えて
新興国通貨も
為替手数料相対的に高め?外貨預金よりも安め安い
売却、換金普通預金はいつでもできる
定期預金は中途解約できない場合も
いつでもできるいつでもできる
税金利子 源泉分離課税
為替差益 雑所得(予め為替予約がない場合は原則、確定申告必要)
分配金 利子所得
売却益 譲渡所得
特定口座(源泉徴収口座)で取引すれば確定申告不要
先物取引に係る雑所得等(原則、確定申告必要)

日本で暮らす私たちが日本円を多く保有するのは、当然のことといえますが、

今後、少子高齢化の進展、人口の減少、経済の低迷等によって、日本円に対する信用度が、相対的に今よりも下がると考える場合、日本円のみを保有することは、大きなリスクです。外国通貨を保有するリスクもありますが、今後の日本円の価値によっては、保有資産の一部を外国通貨で保有することが、資産防衛手段として効果的な手段となる可能性もあります。

外国通貨を保有することのリターンとリスク、金融商品の特徴を理解した上で、

自分にあった資産形成、資産防衛を考えていただくきっかけになれば幸いです。

外国通貨による資産運用をお考えの方は、是非私たちFPにご相談ください。

文・益山 真一(ますやま しんいち)

1971年生まれ。早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。
1級FP技能士、CFP認定者
マンション管理士、宅地建物取引士、消費生活アドバイザー、ダイエット検定1級、食生活アドバイザー2級、健康管理能力検定2級
2003年から2017年まで15年にわたり、國學院大學経済学部非常勤講師

人生を楽しむお金を生み出すことを目的とした執筆、講演活動を展開。
主なテーマは「資産形成・老後資金準備と家計管理」。
FPの資格取得・継続教育、宅建の資格取得研修、高校・大学の講義のほか、投資家向けセミナー、内閣官房内閣人事局主催のキャリアデザイン研修講師、ファイナンシャルアカデミーのお金の教養講座・経済入門スクール等、セミナー・研修・講義は2021年3月時点で3113回。
活動理念は「心、カラダ、キャリア、時間、お金」の5つの健康のバランスを考えた最適提案。