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コラム
2020年6月29日 保険
国民年金保険料、上手に支払って節約、納付困難であれば手続きを!

国民年金の保険料を支払う義務があるのは、第1号被保険者のみ

国内に居住する20歳以上60歳未満の人は、原則として国民年金に加入することになっています。国民年金の被保険者の種類は3つに分けられており、第1号、第2号、第3号に分けられます。

国民年金の保険料を支払うのは20歳以上60歳未満の第1号被保険者のみです。

具体的には自営業夫婦、学生、無職の人等で、自分で市町村役場にて加入手続きを行います。

なお、会社員や公務員(国民年金の第2号被保険者)は給与から強制的に厚生年金保険料が徴収されますので、個別に支払う手続きは要りません(勤務先が手続きを行います)。

第2号被保険者(サラリーマン)に扶養されている20歳以上60歳未満の配偶者(国民年金の第3号被保険者)、いわゆる専業主婦やパートタイマーは、国民年金の保険料を支払う必要はありません(勤務先で加入手続きが必要です)。

同じ専業主婦でも、サラリーマン家庭の専業主婦は国民年金の保険料の納付義務がありませんが、自営業の専業主婦は国民年金の保険料の納付義務があります。

第1号被保険者自営業夫婦、学生、無職国民年金保険料を支払う
第2号被保険者会社員、公務員厚生年金保険料を支払う
第3号被保険者第2号被保険者の被扶養配偶者保険料納付なし

国民年金、前納がお得

2020年度の国民年金保険料は月額16,540円。年間では198,480円。

決して少ない金額ではありません。少しでもお得に支払うのであれば、前納を検討しましょう。6カ月分、1年分(12カ月分)、2年分(24カ月分)を一括で前納すると、支払う金額は一定の割引率により少なくなります(筆者は1年前納を利用しています)。

前納には、口座振替による納付と、現金・クレジットカードによる納付がありますが、口座振替による納付のほうが、割引率が高く、支払う金額は少なくなります。

前納するには年金事務所等にて、手続きが必要です。

例えば、口座振替による前納の場合、毎年2月末まで(10月分~翌年3月分の6カ月分の前納は8月末まで)に、預貯金口座の金融機関または年金事務所に「国民年金保険料口座振替納付(変更)申出書」を提出します。

6カ月分前納1年前納2年分前納
口座振替1,130円4,160円15,840円
現金・クレジットカード810円3,520円14,590円
2020年度の前納の場合の割引額

※割引額はそれぞれ、6カ月分、1年分、2年分の保険料からの割引額

保険料を支払うのが難しい場合は猶予・免除の手続きを!

国民年金保険料を納めるのが難しい場合、納付を免除・猶予する制度を利用しましょう。

例えば、障害基礎年金を受給する人、生活保護の対象者は、法律で国民年金の保険料の納付を免除されます(支払う必要はありません)。

また、本人、配偶者・世帯主の前年所得(1月から6月までに申請する場合は前々年所得)が一定以下である場合、申請により保険料の納付が免除されます。免除される割合は、所得水準に応じて、全額免除、4分の3免除、半額免除、4分の1免除の4種類があります(つまり、全額支払う必要がない場合もあれば、一定の割合の保険料を支払う必要がある場合もあります)。

また、20歳以上50歳未満の人で、本人、配偶者の前年所得(1月から6月までに申請する場合は前々年所得)が一定以下の場合、申請により保険料の納付が猶予されます(免除とは異なり、待ってもらう制度です)。なお、学生も本人の所得要件を満たせば、同じ扱いを受けられます。

一定の障害者になった場合の障害基礎年金、死亡した場合の遺族基礎年金の支給においては、免除・猶予ともに保険料納付要件の対象期間となりますが、老後の老齢基礎年金は、少し違います。免除は、少しだけ年金が増えますが、猶予は1円も増えません(詳細は割愛)。

なお、免除・猶予ともに10年以内であれば、後から納付して、老齢基礎年金を「納付した場合」と同水準に戻すことができます。

新型コロナウイルスの影響で減収している人も手続きを!

2020年2月以降に、新型コロナウイルスの影響により、収入が減少し、2020年の所得の見込みが現行の国民年金保険料の免除・猶予等に該当する水準になることが見込まれる場合は、市(区)町村役場または年金事務所で手続きをすることで、2020年2月分以降の国民年金保険料の免除・猶予等を受けることができます。

https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/menjo/0430.html

「免除・猶予」と「滞納」は全く違います

免除・猶予と滞納は、保険料を支払わない点で、見た目は同じですが、制度上は全く違います。滞納をした場合には、メリットは1つもなく、以下のようなデメリットがあります。

・老齢基礎年金の資格期間(10年以上必要)に算入しない(免除・猶予は算入される)

・滞納期間の保険料を納付できるのは2年前の分まで(免除・猶予は10年前の分まで)

・障害者になっても、障害基礎年金をもらえない可能性がある(免除・猶予はもらえる)

・死亡しても、遺族が遺族基礎年金をもらえない可能性がある(免除・猶予はもらえる)

手続きが細かくてよく分からないし、面倒だ・・と放置したくなる気持ちはよく分かりますが、滞納は何もよいことはありません。

今後の保険料負担を抑えたい方は、前納の手続きを。

当面の保険料を支払うことが難しい場合には免除・猶予の手続きを。

ちょっと面倒ですが、一手間をかけることで、将来の負担・不安を小さく抑えましょう。

文・益山 真一(ますやま しんいち)

1971年生まれ。早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。
1級FP技能士、CFP認定者
マンション管理士、宅地建物取引士、消費生活アドバイザー、ダイエット検定1級、食生活アドバイザー2級、健康管理能力検定2級
2003年から2017年まで15年にわたり、國學院大學経済学部非常勤講師

人生を楽しむお金を生み出すことを目的とした執筆、講演活動を展開。
主なテーマは「資産形成・老後資金準備と家計管理」。
FPの資格取得・継続教育、宅建の資格取得研修、高校・大学の講義のほか、投資家向けセミナー、内閣官房内閣人事局主催のキャリアデザイン研修講師、ファイナンシャルアカデミーのお金の教養講座・経済入門スクール等、セミナー・研修・講義は2021年3月時点で3113回。
活動理念は「心、カラダ、キャリア、時間、お金」の5つの健康のバランスを考えた最適提案。