Column

コラム
2022年1月31日 コラム
公的保障を踏まえて生命保険を検討しよう!

令和3年10月15日、保険会社向けの総合的な監督指針の一部改正案が公表されました。今回は、その改正案と生命保険の加入や見直しにおいて、理解おきたい公的年金や公的医療保険のキーワードを紹介します。

その指針の改正案は以下のとおりです。

  • 公的保険を補完する民間保険の趣旨に鑑み、保険募集人等が公的保険制度について適切な理解を確保するための十分な教育を行っているか。
  • 保険会社や保険募集人等による顧客の意向の把握・確認について、顧客が自らのライフプランや公的保険制度等を踏まえ、自らの抱えるリスクやそれに応じた保障の必要性を適切に理解しつつ、その意向に保険契約の内容が対応しているかどうかを判断したうえで保険契約を締結するよう図っているか。そのために、公的年金の受取試算額などの公的保険制度についての情報提供を適切に行っているか。

という2点が改正案です。

私なりに簡単に訳してみると

  • 老齢年金、遺族年金
  • 公的医療保険の高額療養費や傷病手当金や全額自己負担になる医療費
  • 公的介護保険の自己負担割合や高額介護サービス費

について保険募集人がしっかり理解し、顧客の職業、収入、年齢、家族構成等に応じて異なる公的保険によって手当てされる範囲を説明し、顧客のライフプランに応じて手当てすべき保障の優先順位に応じて、必要な保障を提案しましょう。

ということです。

老後の備えは、まず「ねんきん定期便」を毎年、確認

まず老後の備えにおいて皆さんにやっていただきたいのは、毎年、誕生月に送られてくる「ねんきん定期便」を確認することです。

50歳未満と50歳以上では記載内容は異なります。

https://www.nenkin.go.jp/service/nenkinkiroku/torikumi/teikibin/r3teikibin.html

50歳未満は、現在まで支払った保険料に対応する年金見込額(今後の分は含まない)、50歳以上は、現在加入する年金制度に現在のままの状況が60歳まで続いた場合の見込額(60歳までは見込み含む。60歳以降の分は含まない)が記載されています。

なお、令和4年度には、厚生労働省で、公的年金の受取見込額を簡易に試算できるページの運用開始を予定しています。

自分の年金見込額を試算し、不足部分は、

  • つみたてNISAやiDeCo(個人型確定拠出年金)で投資信託を積立投資する
  • 定額型個人年金保険、変額個人年金保険、外貨建て個人年金保険等に加入する

等が考えられます。

遺族年金も「ねんきん定期便」が役立つ

遺族年金のうち、

  • 遺族基礎年金(原則、高校卒業までの子がいる場合に支給)
  • 遺族厚生年金(会社員・公務員または会社員・公務員歴がある場合に支給)
  • 中高齢寡婦加算(一定要件を満たす妻に65歳に達するまで支給)

など、公的年金で支給される遺族年金を把握し、遺族年金や遺族が働くことで手当てできない部分を、定期保険、逓減定期保険、収入保障保険等で準備することを考えましょう。

なお、住宅ローンは団体信用生命保険で返済されるため、考慮しなくても大丈夫です。

遺族基礎年金や中高齢寡婦加算は要件を満たせば、決まった額が支給されますが、遺族厚生年金を受給できる金額は報酬や加入月数で異なります。
遺族厚生年金は死亡時点の報酬比例部分の年金額の4分の3ですが、厚生年金被保険者が死亡した場合で加入月数が300月未満の場合300月分が最低保証されます(つまり、本来よりも多くもらえます)。

遺族厚生年金も、ねんきん定期便があれば、比較的簡単に計算できます。

たとえば、50歳未満で加入月数が250月の場合には、ねんきん定期便に記載されている金額に「×300/250×3/4」を乗じることで遺族厚生年金を求めることができます。

会社員の場合、公的医療保険の高額療養費や傷病手当金は「標準報酬月額」で異なる

病気やケガによる治療費の1カ月間の自己負担額が一定の金額を超えた場合、自己負担を軽減する高額療養費制度があります。

高額な医療費を支払ったとき | こんな時に健保 | 全国健康保険協会 (kyoukaikenpo.or.jp)

70歳未満の会社員の自己負担限度額は標準報酬月額に応じて異なります。

標準報酬月額はねんきん定期便に記載されていますし、「給与明細に記載されている厚生年金保険料÷0.0915」で求めることもできます(確定給付企業年金に加入していない場合)。

これらの自己負担額を把握し、病気や事故による治療費のうち、収入や貯蓄の取崩しで対応できない部分に対して医療保険やがん保険を検討しましょう。

たとえば、

  • 差額ベッド代(4人部屋以下)は自己負担となるため、入院給付金で手当てする
  • 先進医療費は保険適用外であるため、医療保険やがん保険に先進医療特約の付保する

などが考えられます。

また、健康保険の被保険者が私傷病により連続3日間働くことができず、給与が支給されない場合、休業4日目から通算1年6カ月間、傷病手当金が支給されます。

病気やケガで会社を休んだとき | こんな時に健保 | 全国健康保険協会 (kyoukaikenpo.or.jp)

1日あたりの支給額は以下のとおりです。

「支給開始日以前継続した12カ月間の各月の標準報酬月額÷30日×2/3」

傷病手当金も高額療養費と同じように標準報酬月額をもとに計算するため、ねんきん定期便や給与明細を確認することで、いくら受け取ることができるかを比較的簡単に計算できます。

傷病手当金は、働くことができず、給与を受け取ることができない期間の生活費に充てるお金ですので、他の家族の収入や貯蓄の取崩しでの対応に不安があれば、医療保険や就業不能保険等を検討しましょう。

以上のように、公的保険の保障内容を理解し、ねんきん定期便を使って自分の場合の公的保障の給付をより具体的に把握したうえで、収入や貯蓄の取崩しで対応できない部分を生命保険や医療保険等で手当てすると考えると、何が足りずに、何が不安で保険に加入しているかをしっかり理解できるため、保険契約の満足度も高まることと思います。

自分の公的保険の保障内容を確認したい方、ねんきん定期便の見方を知りたい方、生命保険の保障を見直したい方は是非、私たちFPにご相談ください。

文・益山 真一(ますやま しんいち)

1971年生まれ。早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。
1級FP技能士、CFP認定者
マンション管理士、宅地建物取引士、消費生活アドバイザー、ダイエット検定1級、食生活アドバイザー2級、健康管理能力検定2級
2003年から2017年まで15年にわたり、國學院大學経済学部非常勤講師

人生を楽しむお金を生み出すことを目的とした執筆、講演活動を展開。
主なテーマは「資産形成・老後資金準備と家計管理」。
FPの資格取得・継続教育、宅建の資格取得研修、高校・大学の講義のほか、投資家向けセミナー、内閣官房内閣人事局主催のキャリアデザイン研修講師、ファイナンシャルアカデミーのお金の教養講座・経済入門スクール等、セミナー・研修・講義は2021年3月時点で3113回。
活動理念は「心、カラダ、キャリア、時間、お金」の5つの健康のバランスを考えた最適提案。