先が見えない不安があっても、保険の解約はよく考えてから!

新型コロナウイルスの影響により、
毎月の残業代が減少している会社員、ボーナスが期待できない会社員、
労働時間が減少している派遣社員、請負業務が減少しているフリーランス、
売上げが減少している自営業者等、多くの方が影響を受けていることと思います。
少しでも固定費を減らそうと保険の見直しに手をつけようと考える人も多いと思いますが、
保険を真っ先に解約するのはお勧めできません。
一旦、解約すると、同じ保障を改めて契約しようとしても、年齢の影響で保険料が高くなりますし、健康状態によっては加入できないことも考えられます。
本当に不要な保険であれば、解約に問題はありませんが、
日々のやりくりが不安で、保険を解約したいと考えている方に向けて、
検討材料を提供させていただきます。
今回だけ払えないのであれば1カ月程度の「猶予期間」
猶予期間にも払えない場合、自動振替貸付も

契約で定めた保険料払込期間中に保険料を払い込むことができない場合、
毎月払いの契約であれば払込期月の翌月中、
半年払い・年払いの契約であれば払込期月の翌々月の月単位の契約応当日まで
保険料の払込みを待ってくれます。
この猶予期間内に支払うことができない場合、貯蓄性がある終身保険や養老保険、個人年金保険等であれば、解約返戻金の範囲内(保険会社によって異なります)で、自動的に保険料を立て替えてもらうことができます。
なお、解約返戻金のない掛捨型の定期保険や医療保険で自動振替貸付を受けられず、失効することになります。
失効した保険であれば一定条件のもと、復活できる

「失効」と「解約」は似ていますが、全く違います。
解約した保険は元通りにできませんが、失効した保険は元通りに復活できます。
一般に失効してから3年以内(変額保険は一般的に3カ月以内)であれば、
・健康状態に問題がないこと(告知または診査が必要)
・滞納保険料(と場合によっては利息)を払い込むこと
を条件に、元通りに戻すことができます。保険料も失効前と変わりません。
例えば、新型コロナウイルスの影響がいつまで続くか分からないため、保険料を支払えない場合でも、以前の売上げ・収入状態に戻り、以前の保障を継続するチャンスを残すことができる点がメリットです。
一時的に資金不足で困るなら「契約者貸付」 返済はあるとき払いで大丈夫

一時的に生活費が不足する場合、解約返戻金の一定範囲内(例:7割~9割程度)で、
資金を借りることもできます。この制度を「契約者貸付」といいます。
自動振替貸付と同様に保険会社が定める所定の利息がかかりますが、
毎月または定期的に返済する必要はなく、あるとき払いで対応できます。
貸付額とその利息の合計額が、解約返戻金を上回ると保険契約も終了してしまいますが、
解約返戻金の範囲内であれば、保険を継続でき、保険期間終了時までに返済できない場合には、保険金から貸付金と利息が差し引かれます。
解約返戻金が多い場合には、家計のやりくりの安全網としても利用できます。
今後、保険料を払えないなら、払済保険または延長保険も

今後、保険料を支払う余裕がないけど、保障は継続したいという場合もあると思います。
そのような場合には、払済保険または延長保険という選択もあります。
いずれも、保険料の払込みを中止して、その時点の解約返戻金をもとに保障を継続することができる制度です。払済保険は、貯蓄性の高い保険(終身保険や養老保険等)として継続できる制度であり、払済保険に変更後も予定利率は変わりません(保険料の払込みを中止するため、その分、保険金額は小さくなります)。
したがって、20世紀など、予定利率が高いときに契約した生命保険等では是非検討したい制度です。
延長保険は、保障性の高い保険(定期保険)として継続できる制度であり、変更前と同額の保険金額を維持できます(保険期間は短くなる可能性があります)。
たとえば、こどもが小さいため、万一の場合の大きな死亡保障を維持したい場合等の利用が考えられます。
なお、払済保険、延長保険ともに、変更後、一定期間内であれば、
・健康状態に問題がないこと(告知または診査が必要)
・積立不足額(と場合によっては利息)を払い込むこと
を条件に元通りにできます。この制度を「復旧」といいます。
「復活」とは少し違いますが、元通りにできる点ではほぼ同じと考えてよいと思います。
なお、払済保険、延長保険ともに、入院特約等の各種特約は消滅(一部を除く)するため、家族にとって重要な保障を特約でつけている場合には、お勧めできません。
生命保険は何事もなければ、ただのコストに感じるかもしれませんが、
有事の際には、心強い支えとなります。
保険料と将来の備えのバランスを考えて、生命保険の解約は慎重に検討してください。