検討したい投資信託の着眼点(1)月次資金流出入
2019.09.12
先行き不透明な時期こそ積立投資
2019年9月時点で
香港と中国
日本と韓国
アメリカと中国
イランとアメリカ
イギリスとEU等、
様々な国・地域の対立が起きています。
個別企業に投資する株式投資では、
世界が先行き不透明状況の中でも、飛躍的に業績を伸ばす会社をみつけて投資する妙味もありますが、
分散投資を売りにする投資信託は全体相場の影響を受けやすく、そうもいきません。
先行き不透明な時期に、
まとまった資金をリスク性の高い投資信託に購入するのは躊躇するかもしれませんが、
積立投資は取り組みたいものです。
資産価値=単価(基準価額、以下「単価」)×口数
毎月、同額の投資を継続する場合、
投資対象の単価が高くなれば、購入口数は少なくなり、
投資対象の単価が安くなれば、購入口数は多くなります。
相場が下落する局面は、購入できる口数は増えますので、
もし、相場が下落し続けると、資産価値は減少し続けますが、
相場が反転すると、下落局面で増えた口数がプラスに作用し、
「単価の上昇×増加した口数」の影響により、資産価値の増える速度が高まります。
相場が反転しなければ、資産価値は減少しますので、
近い将来、使う予定のある資金の運用であれば、積立投資もお勧めしにくいですが、
10年以上先に使う予定の資金であれば、時間を味方につける積立投資は
在庫循環、設備投資循環、建築投資循環、技術革新循環に伴う景気回復も期待できます。
積立投資で検討したい投資信託ですが、
「大きな利益を狙う資産形成」と「物価上昇に負けない資産形成」では
大きく異なります。
大きな利益を狙う資産形成では、
前半は単価が大きく下落した方が口数はより多くなり、
後半は単価の大きな上昇を期待できると効果的。
そのため、短期的には下落リスクが大きいものの、
長期的に経済成長が見込める国・地域等に投資するスタンスが考えられます。
一方、物価上昇に負けない投資では、
ローコストのインデックスファンドを選ぶと市場平均のパフォーマンスとなり、
バランスファンド等の分散投資効果が高い投資信託を選ぶと、分散投資効果が高い分、
大きなリターンも期待できませんが、リスクも抑えることができる点で、損失を嫌う人には取り組みやすいといえます。
資産残高を口数(新規資金流入)、単価(基準価額)に分解して分析
投資する立場では、安心して長期で保有できること
運用する立場では、安定的に運用できること
この両方を実現できると双方の利益が一致します。
前述のとおり、投資信託の資産残高は「口数×単価」で求められます。
ベストなのは、口数、単価、資産残高のすべてが増加していることですが、
投資である以上、単価がプラスであり続けることは難しいといえます。
一方、新規資金流入(口数)は相場の変動の影響を受けません。
多くの投資家によって積立投資で買われている投資信託、継続的・安定的に買われている
投資信託は口数が増加し続けます。
投資信託の月次資金流出入は、「モーニングスター」や「投資信託まとなび」のホームページで確認できますので、是非、確認してみましょう。
モーニングスター https://www.morningstar.co.jp/fund/
投信まとなび https://www.matonavi.jp/retrieval/
景気には四季のような循環があります。
秋・冬の厳しいときに蒔いた種が春・夏に開花します。
花を咲かせるためには、春・夏に種を蒔いても遅いのです。
自然災害のように、景気にも想定外の異常気象が起こり得ますが、
そのようなリスクを踏まえて、咲かせたい花をイメージして、
先行き不透明な今のような時期に、投資の種を蒔いてみてはいかがでしょうか?
文・益山 真一(ますやま しんいち)
1971年生まれ。早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。
CFP認定者、消費生活アドバイザー、マンション管理士、
ダイエット検定1級、食生活アドバイザー2級
國學院大學経済学部非常勤講師(2003年から2017年まで15年間國學院大學経済学部非常勤講師)
航空系商社、FP会社勤務を経て、2001年よりフリー活動を開始。
人生の3大資金である教育資金、住宅資金、老後資金を効率的に手当てし、
人生を楽しむお金を生み出すことをテーマとして、日々、相談や執筆、講演活動を展開。
FP資格取得・継続教育、高校・大学の講義のほか、
金融機関等の社員研修、投資家向けセミナー、参議院や内閣官房内閣人事局人事局主催の
キャリアデザイン研修講師まで幅広く務め、セミナー・研修・講義は2019年6月時点で通算2935回。
長女も12歳3カ月でFP3級、16歳時受験でFP2級に合格するなど、わかりやすい伝え方に定評。
活動理念は「心、カラダ、キャリア、時間、お金」の5つの健康のバランスを考えた最適提案。
相談業務は、30代および40代の家計の見直し、教育・住宅・老後等の3大資金準備に対して、
お客様のライフプランや価値観に基づき、メリット・デメリット・リスク・注意点を伝えながら、
1つでも多く「改善できるヒント」を提供するべく活動している。
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